「テレビのような映像を自分で作りたい」テレビ番組ADが人気YouTuber兼映像ディレクターになるまで
『MOCO'Sキッチン』や『つくってあそぼ』のパロディ動画で注目を集め、今やチャンネル登録者数12万人を超える人気YouTubeチャンネル『2200年TV』。
2200年TVに出演するつっちーさんはYouTubeに出演する傍ら、動画制作のディレクターやカメラマンとしても活躍していて、buggy株式会社が担当しているYouTubeチャンネルの動画制作も担当しています。
そんな映像業界で活躍するつっちーさんは、実はテレビ番組制作会社の元ADの経験も。しかし、今の活動をするまでにさまざまな葛藤や苦難がありました。
本企画は、クリエイターのプロデュースなどを手掛けるbuggy株式会社の代表を務める関根(@mu41208)と、buggyに関わるさまざまなメンバーが対談。現役で活躍する人たちにプロデュース術や仕事にかける想いをお聞きします。
「裏方として、いつか一緒に仕事しよう」元ADがYouTubeを始めた、親友との“ある約束”
関根:まずはつっちーさんの経歴を聞かせてください。
つっちー:僕は、新卒で大手制作会社の株式会社ジーヤマに入社しました。ADとして半年勤めた後に、別の制作会社である有限会社フラッグスに6年ほど勤務。その後ブライダルの映像制作会社での経験を経て、今の働き方であるフリーランスになりました。
関根:そもそも、テレビや映像作品を好きになったきっかけや原体験はあるんですか?
つっちー:小さい頃は『天才てれびくん』が大好きで、ずっと見ていました。当時は自分と同じくらいの子たちがどうやってテレビに出ているのか知らなかったので、「すごい同世代がいるんだな」と思いながら、その後もバラエティや映画を見ていた覚えがありますね。
関根:テレビっ子だったんですね。自分も番組に出たいとは思わなかったんですか?
つっちー:自分もテレビに出ることを仕事にしたいとまでは思わなかったですけど、昔からテレビ業界への憧れは抱いていましたね。
関根:AD時代はどんな番組を手がけていたんですか?
つっちー:ジーヤマでは現在も放送されているバラエティ番組『男子ごはん』を、フラッグスのときは『教えてMr.ニュース 池上彰のそうなんだニッポン』や『E-Girlsが!モンクの叫び』『オトナの!』などを担当していました。
関根:有名な番組が多いですね。「つっちー」として活動し始めたきっかけは何だったんですか?
つっちー:原点で言うと、中学、高校、大学と同じ学校に通っていた同級生と、高校3年生のときにお笑いコンビを組んだんです。
関根:今もそうかもしれませんが、当時は漫才を始める学生が多かったですよね。
つっちー:そうですね。その流れで僕は大学で落語研究会に入って、相方はNSC(吉本総合芸能学院)の14期として吉本興業に入ったんです。14期は相席スタートの山添さんや、スパイクのお二人が同期の代です。
関根:つっちーさんは一緒にお笑い芸人の道に進まなかったんですか?
つっちー:僕も表舞台に立ちたい気持ちはあったんですけど、人生をすべてかけてお笑い芸人への道に踏み込む勇気がなかったんですよね。
関根:お笑い芸人の道に進むのも、簡単なことではないですもんね。
つっちー:僕は大学で、落研のほかに学部祭の実行員にも入っていて。そこで演者さんにカンペを出したり指示を出したりするADという仕事を知って、「すごくかっこいいな」と。
実際にADをやってみたことで、裏方の楽しみもあることを実感しました。僕は裏方として、相方は演者として進んで、「いつかどこかで会えたらいいね」となったんです。
関根:すごくいい話。
つっちー:だけど相方は芸人1年目の頃、なかなか鳴かず飛ばずの状態で。どうにか活躍の場を作るために、一緒にテレビ番組ごっこを始めたんですよ。それが今の「2200年TV」の原点です。
最初は自分たちのサイトに載せるだけで知り合いしか見れない状態だったのですが、いろんな人から意見をもらうために、YouTubeに動画をアップするようになりました。
YouTube成長期の波に乗り、「モコズキッチン?」が大バズり
関根:YouTubeチャンネル『2200年TV』が始まったのは、2012年頃ですよね。当時有名なYouTuberは誰でした?
つっちー:MEGWINさんやHIKAKINさんはすでに有名になっていましたね。
関根:YouTuberが出始めた初期の頃ですね。つっちーさんは本来裏方でしたけど、2200年TVでは演者もやっていますよね。
つっちー:演者の気持ちがわかるようになりたいと思って、僕も一緒に出演することにしたんです。当初から、YouTubeでもテレビと同じような映像にしたいという気持ちを持って取り組んでいましたね。
関根:最初の動画からクオリティが高いですよね。今のスタイルとなるパロディ系の動画を投稿するようになったきっかけは?
つっちー:いろんなバラエティ動画を上げて試行錯誤しているときに、速水もこみちさんが『MOCO'Sキッチン』でオリーブオイルを大量に使っているのが世間で話題になったんですよね。
それを見たメンバーが「それ以上にオリーブオイルを使ったらどうなるんだろう」と言って、動画を作ったら再生数が伸びて。それからパロディ系が中心になりました。
関根:この動画めちゃくちゃ面白いですよね。ちなみに、僕も新卒時代に一発芸で『MOCO'Sキッチン』のパロディをやりましたけど、大滑りでした(笑)。でも逆にそれが印象に残ったらしくて、先輩と仲良くなれた思い出があります。
つっちー:まさかの『MOCO'Sキッチン』という意外な共通点がありましたね(笑)。
関根:つっちーさんの動画には、根底にある狂気みたいなものを感じるんですよね。その表現の仕方がすごく上手くて、すごいなと思っています。
つっちー:ありがとうございます。
今までADの仕事や映像制作などのやりたいことをやってきましたが、どの経験もすごく活きているなと思いますね。AD時代に学んだことをYouTubeに活かして、YouTubeで得たことを映像制作に活かして、と良い流れが生まれています。
「相手を好きになることから始める」映像ディレクターが語る仕事の極意
関根:つっちーさんとの出会いは、東洋製罐グループのYouTube撮影ですよね。初回からつっちーさんに現場の仕切りをお任せしちゃったんですけど、しっかりとまとめてくださって。いつも本当にありがとうございます。
つっちー:こちらこそです。今は東洋製罐グループの動画制作も2年目に入りましたね。
関根:他にもいろんな案件を担当されていると思いますが、つっちーさんが仕事をする上で心がけていることはありますか?
つっちー:仕事をするときは、取引先の人を好きになることから始めます。相手の方と深い関係になれたら本音で話せるようになりますし、お互いにメリットがあると思うんですよね。
関根:深い仲になったほうがコミュニケーションもスムーズになりますしね。スキルも必要ですが、人間関係の構築も大切ですよね。
つっちー:あと個人のブライダル撮影のときは、“変な人”になっていました。初対面の人の前で笑顔を作るのは大変だと思うので、面白い人だと思ってもらえるように奇声を発するんです(笑)。そうすると笑ってもらえるので、その瞬間を撮るという。
関根:奇声! 一気に緊張もほぐれそうですね。
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今回は2200年TVのつっちーさんに、これまでの経歴や仕事をする上で意識していることを聞きました。
AD、YouTube出演、映像制作ディレクターとこれまでの経験をそれぞれに活かしながら、多方面で活躍するつっちーさん。
次回も引き続きつっちーさんが登場します。ぜひお楽しみに!
<ふたり広報:取材・執筆・伊藤美咲 / 編集・えるも / 写真・琴>
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