憧れの師弟関係
私は母によく
「あんたは先生に恵まれてきた」
と言われます。小学校の1年から3年まで同じ先生に持ってもらっていたのですが、その先生はどのお母さんも「いい先生だ」というようなベテランの女の先生でした。
その先生が私を「ガラス細工のような子だ」と母に懇談で言ったように、私は体格の良さから同級生にも「お姉さん」のように思われ、実際長女でいつも下の面倒を見る立場にいたので、自分の感情を抑え、大人の顔色をうかがうような子でした。でも先生が私に「子供らしく甘えたいときは思いっきり甘えることの大切さ」を教えてくださいました。
その先生に会ってなかったら多分私はもっともっと弱かっただろうと母は言います。人前で意見を言うことを大切にしていた先生だったので、低学年のころからよく作文を発表させたり、グループ活動の発表をさせたりするのですが、先生のおかげで私は人前で何かをするのも平気になりました。
この先生をはじめ、その後も高学年、中高とたまに変な先生もいましたが(危ないとかそうじゃなくて、変わり者(?))、おおむね先生には恵まれてきました。
そして、大学でも教授には恵まれました。
少人数制をうたった学部だったので、本当に一クラス20人程度なのですが、授業内容が濃かった。
また、以前も少し書きましたが、私はゼミの教授(女性)がめちゃくちゃ厳しい人だったのですが、学生を決して見捨てない教授で、論文は何度でも訂正してくださるし、就職で悩んでいる子には容赦なく叱咤もすればほめたりもする、論文の提出日にはゼミ生全員を学生ではまず手が出ない高級なお店に連れて行って「みなさん、お疲れ様!」と言ってごちそうしてくださったり(多分経費で落としたと思うんですが)、学科で行うイベントは積極的に参加してくださる先生。
論文指導の時間は今思い出しても血反吐が出そうになるんですが、逆にその時間が濃すぎて今でも自分がどんな内容の論文を書いたのかをちゃんと言えます。
そして、その先生のすごいところは私を含め、かなりのゼミ生とまだつながりを持っていること。教授歴は決して短くないです。
私がスペインへ行けたのはこの先生の紹介からですし(私は日本語教師としてもそうですが、大学同士が提携を結ぶ記念として派遣されました。)、同じゼミ生も今でもほとんど連絡を取っているとのこと。
その先生から、4月半ばにFaceBookを通してお願いがありました。
「大学でも今学期はオンライン授業に切り替わります。そこで、卒業生のみなさんのお力をお借りしたいと思っています。
私の講義の最初数分間に登場していただき、皆さんの後輩である在校生にスペイン語を学んでよかったこと、仕事でスペイン語を使っているかどうか、それは国内か国外か、また就職に関する情報をお話ししていただきたいのです。学生は現場の声を聴きたがっています。私も慣れないオンラインの中でできる限りのことはしたいのです。
そのために〇大生スペイン語学科卒業生母校応援グループを立ち上げさせていただきました。
〇曜日〇時限目の△△という講義や□□という講義でお願いしたいです。
皆さん、どうかご協力お願いします」
という内容でした。
これを読んだ私はもちろんOK。グループを見たら私の代のゼミ生もほとんど参加していました。
他にも約150名が参加していた。
この時点で、すごい。
そしてほとんどが
「〇〇先生のためなら時間を空けます!」
「今は仕事で直接スペイン語を使っていませんが、だめですか!?」←わたしもこれ
「先生の授業なら私自身が聴講したいです!」
「できることがあれば何でもお手伝いします!おっしゃってください!」
などと反応していて、
全員協力体制。
この呼びかけとグループに反応していた時点で当たり前と言えばそうなのですが、私よりはるか前に卒業した先輩方も協力する、昨年卒業したフレッシュな後輩も協力する。
これ、すごい。
それだけ熱い指導をしてくださったことをみんなが忘れていないってこと。
卒業しても教授はときおり連絡をくださいます。私の仕事を覚えてくださっているので、「今度大学でこういうセミナーがあるからいらっしゃい」と情報をくださったりもします。
よく他の卒業生と飲み会を開いているのも写真で見ます。びっくりするのがゼミ生の子どもの名前も覚えていること!
すごいなあ。私も教え子にこうやって慕われる教師になりたいなあ。
何十年経っても一声かけたら多くの学生が前向きにしかも迅速に協力してくれるってすごい。
先生のためなら、もっというとその先生のもとから広い広い世界に羽ばたいていく後輩の力に少しでも力になりたいとみんなが思う。
すごいなあ。
私は今回の先生のお願いに「協力したい!!!!」と超前向きなメッセージを送り、先生からも「日本語教師は絶対別枠でもなんでも時間取るから!ちょっと待ってー!」というお返事をいただいたのですが、その後すぐに自身の授業再開が決まり、時間が丸まんま被っていたので当面見送り、涙をのんだのですが、いつかどこかで必ず何かお手伝いをしたいと思っています。
教授は独身ですが、「私には数え切れないくらい子どもがいるの!^_^」と言ってくださるのもこちらはすごく嬉しい。
この教授とわたしを含めた卒業生の師弟関係は、永遠に私の憧れ。