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【連載】残された人生は大学卒業まで!? #204 演出ってすごいな

人に演技を教えるのがやっぱり難しいという話。

まず私がどういうふうに演技を考えているかを述べる。

作品の台本が渡されて、その中の自分の演じる登場人物のセリフをひたすらに覚えます。

別にそこにどういう意味が含まれているとか、どういう意図があってそのセリフが書かれたとかは考えません。

書いてある通りに、覚えて、読むだけ。

感情の揺れ動きなんかは、その時その時の役者同士の会話や観客と同時に生み出すその場の雰囲気に任せる感じです。

別にこれが正解か不正解かみたいな話ではなくて、私はあくまでそのように考えるということ。

今回私が演出という立場に立って、違うセリフの覚え方やセリフを覚えるにあたっての考え方があることを知った。

役者さん、みんな賢いんです。賢いからこそ、このセリフにはどういう意図が含まれているとか、どういう感情が含まれているから読み方が変わるとか色々考えてくれるんです。

びっくり、自分にはそんな考えなかった。

こんな私が彼らの演出をするという立場に立つと、まるで言葉が通じないんです。言葉が通じないというより、言葉にできないんです。

私はこうやってするけど?っていうふうに、自分でやって見せるしかできないんです。こういう考えでこういう意図が含まれているからこういう読み方をしてくれという指示ができません。

逆にしてみればそのような役者さんたちには、そんなわかりづらいニュアンスのようなもので演技をおしえられてもぴんと来ていないはずです。

論理や考察、解釈で演技に落とし込む人にとっては、はっきりした言葉による指示がないと、まるで自分の演技に落とし込めないはずです。

例えるなら、それはもうすでにできている絵を模写しているような感じです。

やりがいも何もないでしょう、多分。

彼らはあたりの取り方を知り、顔のパーツがどこにあるのかを知り、どういうバランスで書き、どういう配色をすれば上手く描けるか、ということを論理的に解釈して一つの絵にするんです。

そんな彼らに説明する言葉が見つからず、「完成品はこんな感じだよ、真似してみて」と伝えるだけになってしまっているのは、本当に情けないです。

いろんな理由が考えられます。

自分が演出として演じてもらいたいテーマがしっかり固まっていない、その役者にリクエストする人物像や表現してほしい感情というものを固められていない、などなど、色々あります。

人に何かを教えることは、決まり切った答えがない演劇にとっては難題です。

終わる頃には解決しているのでしょうか。

まだまだわかりませんが、もう少なくなってきている公演期間を突っ走るために、今日も明日も、声をかけるための言葉を探すのです。


BU(◎)DOH

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BUDOH
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