【前編】お米がエタノールに変身!|ファーメンステーション代表酒井さんインタビュー!
こんにちは、Buddy's編集部です!前回に引き続き、今回は「ファーメンステーション」の代表酒井さんにインタビューをしました。
インタビューに移る前に、ファーメンステーションという会社についてご紹介します。
「休耕田、オーガニック米、そしてエタノールへ」
「FERMENSTATION」は2013年に誕生した日本のブランドです。岩手県奥州市の休耕田で栽培された無農薬・無化学肥料のオーガニック米を発酵・蒸留してエタノールを製造しています。
世界的に見るとお米は貴重な作物ですが、日本では、時代とともに米の消費量が減り、休耕田が増加しています。その休耕田は病害虫の発生源となってしまうため、まわりの田畑に悪影響を与えてしまいます。そこで、休耕田を復活させ、そこで栽培されたオーガニック米を活用できないかという循環プロジェクトが10年ほど前に岩手県奥州市で発足しました。
インタビュー|“ファーメンステーション“の由来
10月初頭、Buddy's編集部井上、チーフバイヤーの市岡で酒井さんにお話を聞きに行きました。
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井上:本日はよろしくお願いします。最近お忙しいですか。メディアでもよくお見掛けします。
酒井:ずっと忙しいですが、ベンチャーはそんなものだとかんがえています。確かに最近はメディア露出が増えていますね。
中でもサーキュラーエコノミーのキーワードでヒットするようになりました。アクセンチュアが提唱している概念です。私は地球環境に課題意識が向いている中で資源を有効活用する試みのことだと考えています。事業の在り方や商品の在り方を設計から見直す動きのことでもあります。そういう持続可能な循環できる仕組みづくりのことだと考えています。
最近白馬で勉強会のイベントがありました。そこでレクチャーを受けました。現在勉強中です。
井上:ファーメンステーション様のお名前は、夏ころに読売新聞の記事でみかけました。
酒井:「暮らしの中のSDGs」ですよね。本当にいい記事でしたよね。
井上:たしか一面を使った記事でしたよね。それを見て興味関心を持ちました。
井上:ファーメンステーションという名前、その経緯について教えていただけますか。
酒井:はい。ファーメンステーションは、「発酵」と「駅」を組み合わせた造語です。英語で発酵を「ファーメンテーション」といいます。ファーメンテーションとステーションをかけ合わせた言葉です。発酵技術の駅になれたらいいなと考え、名付けました。もともと金融業界にいましたが、発酵技術を学びたくて東京農大醸造科学科に入学しました。
発酵技術で世の中に良いことをしたいと考えていました。2009年に会社を設立するときに、発酵という言葉を社名に使いたいと考えていました。「ファーメン東京」や「ファーメントータル」などが候補に挙がりましたね。友人のアドバイスで「ファーメンステーション」という名前に決定しました。
井上:「駅」という発想はどこからきたのでしょうか。
酒井:微生物の力を借りて人間にとっていい効果をもたらすのが発酵で、不利益をもたらすのが腐敗になります。文化によっても定義が変わります。お米が発酵するとお酒になったりみりんになったり、麹として味噌になったりしますよね。大豆も発酵すると納豆になりますね。もともとのものより良くなりますよね。変身するんです。
未活用の資源が発酵の駅であるファーメンステーションを通過することで、いいものになる、そんな図をイメージしました。例えば、ゴミが資源になるように。我ながら良い名前だと思いました(笑)
誤算として、発酵を指すファーメンテーションという言葉の認知度が一般的に低かったことがありますね。理系の方からの反応は良かったですが。
インタビュー|エタノール製造までの経緯
井上:いま、岩手と東京で活動しているんですよね。
酒井:コロナ前までは週何日と岩手県に足を運んでいましたが、今は全然いけていません。東京では企画、営業、総務管理などを行っています。岩手は製造がメインです。
井上:岩手県の休耕田利用はもともとあった企画だったのでしょうか?
酒井:私とは一切関係のないところで企画がありました。
現在奥州市と合併されましたが、もともとは胆沢町という地域でおこった企画です。胆沢の町長が勉強会を始めたのがきっかけです。20年位前からの試みで、農家レストランや産直、民泊などのアイデアが出ていました。それらはすべて実現されています。
その中に、お米でバイオ燃料を作りたいという話がありました。そのお話をしてくれた方が現在私たちのお米を生産しています。さらに、その話を聞いた役場の方が、東京農業大学に声をかけました。私はその研究室にたまたま所属しており、メンバーの一員になりました。たまたま、参加したという感じですね。私が言い出したわけではなく、農家と役場の方々が関わる企画にまきこまれるように参加しました。偶然の出会いです。
もともとは、生ゴミからバイオ燃料をつくろうとしていました。お米から化粧品を作ろうとは全く考えていませんでした。
井上:何故生ゴミからバイオ燃料をつくろうとしたのでしょうか?
酒井:以前金融業界にいたときに、プロジェクトファイナンスという大きな案件を担当していました。インフラや鉄道業界などを巻き込むような大きなプロジェクトでした。その中で環境負荷のリサーチなどをしていました。
そのころ、地球温暖化が話題になっており、石油由来ではない燃料が重要だと考えていました。でも、なかなか携わる機会に恵まれませんでした。たまたまテレビを見ていた時に農大で生ごみから燃料を作る研究が出来るということを知りました。それで、入学してみようと思い立ちました。
井上:東京農業大学は、理系の大学ですよね。
酒井:そうですね。私はもともと文系でした。自信がなかったので一年生から入学しました。そうしたら予備校の教材のようなものが送られてきましたね。心配されていたのかもしれません。
社会人として入学してから自主的に生物や化学の勉強をすすめていきました。家庭教師もつけました。でも、全然分からなかったですね。有機化学はとても難しかったです。生化学はわかるところもありましたが、すごく苦労しましたね。
井上:燃料をつくるためにはコストがかかってしまうと聞きました。
酒井:はい。もともと私は、生ゴミで燃料を作ろうとしていました。
途中でお米から燃料を作ろうという話になりました。その後、つくれるようにはなったけれど、採算がとれませんでしたね。
当時はバイオ燃料がとても流行っていましたが、今はほとんどやっている人がいません。それも採算が合わないからですね。
井上:生産のための工場はどのように?
酒井:空いている酒蔵を利用しました。実証実験時の機械を利用して、いきおいと見様見真似でつくりました。
井上:すごいですね!
インタビュー|仕事について
酒井:色々なところでその話をするとよく行き当たりばったりだといわれます(笑) でも本当にその通りなんです。すごい計画があるわけではありません。やろうと思っていることはありますが・・・。
ですから、今のような姿は想定していませんでした。
井上:行き当たりばったりという性格は、昔からですか。
酒井:そうかもしれません。いきおいで会社を辞めてしまいましたし。
今の仕事を始めるまで何かに夢中になったことがありませんでした。仕事をすることは好きなので、仕事には夢中でしたね。趣味も思いつかないですね。なにもないんですよね。
でも、この事業は頑張れそうで、どうやったら続けられそうか考えていたら、今のような状況になったという感じです。
次回予告
今回の記事では、ファーメンステーションの由来、エタノール製造までの軌跡、そして酒井さんの仕事への向き合い方などをお聞きしました。
インタビュー後編では、引き続きお仕事についてお話を聞きつつ、今後の展望、Buddy'sに対するコメントなどをお話しいただきます!
また、最後には私たちBuddy'sに期待することなどをお話ししていただきます。
次回もお楽しみに!
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