J-HOPE【MORE】奥さまッ、あの低音聞きましてッ!?
2022年7月1日、BTSのソロ活動のトップバッター、J-HOPEくんのアルバムより、先行シングルのMVが公開された。
あたくし、公開された当初仕事中だったものですから、それでも気になって、我がとこのお店にて、お客さんのいないうちにこっそりかけた。ほぉ…う…ふぅ…む…。
そして帰宅して、YouTubeにてMVを鑑賞。うむうむ…。
そして寝る前に、音だけ聴こうと、お布団の上でヘッドフォンをしてiTuneで再生したら
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ
「うわっ!!?」
カカカカッカカカカカ(←とっさに激烈に音漏れしているかと思って音量を下げた)
別に音量が大きすぎた訳ではなかった、密着型のヘッドフォンで聴いたら、脳髄が振動するかってくらいのかなりの音圧で低音が入っていて、びっくりして、あわてて音量を操作して、スマホを落としそうになったんであった。
これ、左右均等に、ちゃんと耳の中心に当たるように、お持ちであれば密着型のヘッドフォンをして、そして中レベルくらいの音量を出してもらうと、曲の間じゅう、顎の骨が振動する、と、そういうような体験をして頂けるんじゃないかと思うのですが、
なるほどですね…J-HOPEくん…!!!
ちゃんとした音環境で聴く前、この曲【MORE】、わたしはビジュアルやロック部分のインパクトの方が強くて、そのパンチ力に比べるとボーカルから受ける圧力は、さほどない、軽い、というか、可愛い感じ?がして、「なんでこういう風にしたのかな?」と思っていた。
こっちがメインでしたか……。
闇HOPEはこの低音、この曲の主人公は低音だったんか……(←超個人的見解)。
一般的にポップスは、あらゆる様々な音楽装置(ちゃんとしたスピーカーから、テレビ、ラジオ、カーステレオ、スマホに至るまで)の、どれで聞いても印象がそれほど変わらない、ということをミキシングのゴールに設定する。だからすごい低音とか、すごい高音部分に、曲想を左右するような音は入れないで作るのだが……
と、一般論と比べると、かなり繊細なことをやっているのが今回の彼の曲なのでありまして、よくよく聴いてみるととても込み入って、よく作られている…!
The 職人芸
という感じがした。
職人芸。4つのシーンそれぞれが抽象しているものについては、分からない、分からないんだが、この4つのシーンと間を繋ぐ「壁」あるいは「廊下」、プロムナード的シーンが、よく聴くと非常に、音楽の構成と、なんとも繊細にマッチしているじゃないッ…!
だから最初、「うわっ」っていう、「ゾンビ怖っ」ってギャップの方が大きくて、「勢いの曲」って感じがしてしまったけど、最初感じたボーカルの音圧、軽さも含めて、
「あ、計算されてる…」
聴けば聴くほど…面白い…!!
こりゃ、フルアルバムが楽しみだよ〜!!!
シングルジャケット見て思ったけど、この方、本当に初志貫徹だね…。
アルバムで絵が完成するのだろうか。わくわく。
気になった歌詞、いくつか。とにかく、
Bring it all
I'm doing it all
I say 'more'
'Cause I want some more
と。足りねえと。もっとよこせと。
先日のカムバックのファンカムなどを見るとよく分かりますが、踊らない曲だと特に、出番って、まあ単純計算で一曲あたり7分の1ですね。これ、出演のために打ち合わせして、長時間準備して、フルメイクして、衣装着て、出演して、「1分弱のパート」って、物足りないっちゃ物足りなくもあると思うんですよ。
とはいえ、忙しさトップオブトップのBTSで、「いやー、もっとやれるんすわ」「物足りねっす!」ってアティチュードを前面に出されると、たまげますけどね…。
と、ここでネスレのキットカット、商品名出てきますが。
キットカット、といえば、稽古場のケータリングの定番のイメージ…よく出来たおやつですよね!小腹満たせるし、チョコだけでなく、ウエハースだけでなく、そして半分に折れるところも良いんでしょう、一本を2口で食べて、また後で半分食べよ…というような。大袋で売ってますし。
てな感じで、歌詞にフィードバックに対するJ-HOPEさんの追従する者のない人格者っぷりが出ておりますが、
以前こちらのnoteにて、J-HOPEくんのインタビューに少し触れて、フィードバックに対する彼の態度について、感想を書いたことがありました。いや、本当にそうなんだろうと思う、彼はフィードバックをもらって、調整する、それが質を高めるために必要なプロセスだ、と、自意識を連動せずにそう捉えている風であるらしく、
とても真似でけん…!
パクチーなんかすぐ怒っちゃうもんね、指摘されたら、的を得ていればなおのこと恥ずかしくて…!
と思ったのだった。今も改めて思った。
ダリ?なんのダリ?
あのダリ?
このダリ?好きだったの?
'Dali'で検索するとスピーカーとか出てくるけど、画像検索するとやっぱりサルバトール・ダリが圧倒的に多く、「芸術宿る絵」で「ダリ」なら、やっぱり画家のダリなんだろうか?ダリ好きなの?
検索して見てたら知らない絵がいっぱいあって、騙し絵みたいな骸骨の絵がたくさんあったので、なんとなくこのシークエンスのレントゲン骸骨との親和を感じた。
先行して公開されたコンセプトフォトや、MVのインパクトあるシーンから、【MORE】、ロックな印象を持っていたけど、実際に音を聴くと、ロックではない。ロック風のシークエンスが、サビの「Hah! Shout out!」以降のところで少しあるが、ロック…、ロック…風?ギターを録音したのか、ソフト音源なのか、微妙なところ。
ロックとロック風は全然違う。ロックの人は、ステージを降りたとて24時間ロックだからさ…。
個人的な印象だが、アルバム『Proof』収録の【Run BTS】がロックテイストだったように、何かロックに対する憧れのようなものが、この方たち、あるのかしらんと思った。パクチーは全然ない。パクチーが子供の頃から学生の頃にかけて、日本のポピュラーミュージックは「総・ロック・バンド時代」だったから。
K-POPのアイドルたちの音楽は総じてDTMだと思うのですが、わたしの体感だと、DTMからロックが一番遠い。DTMとはコンピューター音源を使ってコンピューターで作る音楽のことですが、星の数ほどある音源のうち、エレキギターってのは、ソフト音源で「らしく」鳴らすことができない。クラシックの楽器なんかは随分進化して、細かいニュアンスまでコンピューターで作ることが出来るけれど、ギターは難しい。生身のギターリストを呼んで、スタジオに入ってもらって、演奏してもらったものを録音する、というようになる。パクチーが知っているDTMで曲を作る人でロック風に書ける人は、もともと音楽の出自がロックで、自分でエレキギターが弾ける人ばかりだった。
その遠さからの憧れ、ロック、秩序を破壊してくれる者のイメージ、枠を壊してくれるイメージ、「いい人」のペルソナを壊してくれるイメージとして、ロックの要素を持ち込んだのかな〜。
CG合成用のマーカー(っていうんだっけ)を、彼が納得した演出で、いっぱいつけたJ-HOPEくんを見て、「やりたいこと、いっぱいあるんだな!」という気持ちになった。ある部分では、彼の欲求の枷であったかもしれないアイドルのコンセプトを、内側から壊して自己表現するという強い決意、卵が割れて成獣が出てくるみたいな、羽化みたいな、クリアで遠くまで見通した頭脳が、丁度良いコンディションでハイスペックに稼働し続けているように見える写真。指長い。
…という訳で。
働き者の勤労青年で、真面目で、どんなにロックで悪者風のニュアンスを取り込んだとしても、一生懸命音楽について、あるいは音楽以外について勉強していて、仕事の合間に着実に時間を取って、自分の見せ場を緻密に計算して作り上げている、そんな力作に見えた。
好きなものが一貫して好きなJ-HOPEくん。
彼に愛されたものは、人も、ものも、末長く愛されそうだ。
それでは、また!