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ゲリラ豪雨と山手線
夏のある日、午前中に仕事があったのでバイクで埼玉まで商品を預かりに行った。当時自宅があった池袋からはバイクで50分くらいなので、まあ電車で行くよりは楽。
卸業者さん(自宅で夫婦でやっている)から荷物を預かり、冷たいコーヒーを頂きながら小一時間話をしていると、雲行きが怪しくなってきた。
「雨降らないうちに帰りますねー。」
なんて言いながらバイクに跨って、出発して5分後。。。。
お手本のようなゲリラ豪雨が降ってきた。
それはそれは洒落にならないくらいの豪雨で体に当たる雨が痛い。見る見る僕はバイクごと川に落ちたんじゃないかというレベルまでずぶ濡れになり、尚且つガソリンのリザーバータンクのランプがチカチカしている。ポケットに入れたスマホもずぶ濡れで、買い替えを覚悟した。
とりあえずやっと見つけたガソリンスタンドに逃げ込むと、全身から湯気を放ち苦渋の表情を浮かべたずぶ濡れの僕を、スプラッター映画でも観ているかのようなビビリっぷりでスタッフのお姉ちゃんが迎えてくれた。
ガソリンを入れてもらう間に乾いたタオルを借り、スマホを拭く。どうやら現時点では電源は入っている。財布もビチョビチョで、支払いのときにビチョビチョの万札を震える手で渡すと、スタッフのお姉ちゃんはこれでもかというくらい綺麗なOKサインの指の形で全然OKではなさそうな顔をして恐る恐るつまんでレジに向かった。
預かった商品は布製品だったが、幸いビニールに入っていたので無事だった。
そして家に着くころに雨が止んだ…。
話は変わって別の夜、山手線で新宿から池袋に行くまでの出来事。
僕の隣では、中東系の青年2人と、若い日本人の女の子が話していた。どうやら、電車の中で中東系の青年に声をかけられたらしく、女の子二人も酔っているせいか、中学1年生の1学期レベルの英語で彼らの相手をしていた。
彼らは英語で「どこに住んでるの?」とか、まあナンパっぽい感じに色々聞いていたが、女の子はそのほとんどを理解しているようには見えず、かろうじて英語の中に登場する「イケブクロ」とか、「ヤマノテセン」などの日本語を頼りに「おーいえぇー」と、ろくにできない英語を発音だけはそれっぽく言っていて、それがバカっぽさを増幅させ、僕は笑いを堪えるためにほっぺの内側を噛む。
女の子は例によってバカ丸出しの英語で、「あい りぶいん いけぶくぅろー!」
と、池袋の発音まで英語っぽく言っていたのがイラっとしたが、どうやら中東男子には通じたらしく、「オー!イケブクロネー!」と言い、
「I live in Kanamecho(要町)」(池袋から有楽町線で一駅)と喜んでいたが、女の子は「カナメチョウ? あい どん のー」と、何がわからないのかすらわからない感じで答えた。
待て待て、要町ってオマエの住んでる池袋から一駅で、何なら西口から十数分くらいで歩けるぞ。そこを知らんと言ったのか。
まあ。その子に限らず、地理とか地図とか地名とか苦手な人は多い。
そんなこんなで、女性2人と中東男子2人と僕の5人とも池袋で下車した。