志村!うしろ!
先日、カフェ併設ベーカリーのモーニングにありがちな真ん中で二つに切ってある分厚いトーストを、志村けんがスイカを食べるときにするあの要領で耳だけ残して食べる女を見かけた。
食っている最中の女の正面からの顔とついでに親の顔も見てみたいと思ったが、どちらも儚い夢に終わった。
他人の食べ方や最低限の食事マナーは(ナイフやらフィンガーボウルやらは僕もわからないが)気になって仕方がない性質(タチ)なので、当然その女に眼球をロックオンするわけだが、食べる際におかっぱ的な髪形の毛先が口元にバッサバッサあたっていて今にも毛を食いそうだ。いや、食っているはずだ。女は毛を食っているのだ。だから、あのライン以上は毛は伸びないのだろう。それゆえのおかっぱと解釈する。
いや、そんなことはどうでもいい。
更に女はホイップバターの使用料が尋常ではない。レジカウンターに7gずつ個包装されたホイップバターが置いてあって好きなだけ取っていいシステムなのだが、スイカの赤い部分もといトーストの白い部分を食べ終わった女の席には既に空のホイップバター容器が5~6個積み重ねてある。そのバタータワーの隣には、未開封のバターが5~6個。
たまに「パンの耳は嫌いだから食べない」という人がいるが、志村(勝手に命名)はどうやらそうではないらしく、耳も食べようとしている。
しかしだ・・・。
あろうことか志村はクラッカーにクリームチーズを塗るかの如くバターをこそぎ始めた、その画はもうバターフォンデュ状態。
先程からバターバターと連呼してきたが正確にはホイップマーガリンなので、志村がパンの耳に塗りたくっている夥しい量の乳白色に光る物体の正体はサラダ油なのである。あの女はパンの耳を植物油まみれにして喜んでいるのだ。
見ているだけで胃がもたれてきたので店を出た。