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ご飯が美味しそうな小説にハズレはない説はある【冬森灯さん】

食べ物が美味しそうな描写で書かれている小説が好き。
そのきっかけをくれたのが冬森灯さんの「うしろむき夕食店」


うしろむき夕食店

美味しいご飯が食べれる「うしろむき夕食店」
このお店には「料理おみくじ」がある。
おみくじを引いたら、お食事メニューと「ひとこと」言葉が添えられている。
そのひとことが「ん?どういう意味?」と思うが、上手いことそのおみくじを引いたお客さんたちの物語に繋がる。
おみくじのひとことがお客さんたちの悩みを解決する手助けをしてくれる。
読んでみようと思ったきっかけが表紙のエビフライの絵。
ハート型のエビフライも気になったし、絵なのに本物よりも美味しそう。
この物語にはエビフライ、マカロニグラタン、ビーフシチュー、メンチカツ、ハンバーグが登場する。
美味しそうに食べているお客さんの様子を読んでいると、お腹が空いてきて、私も一緒に食べたくなってくる。

「お金って、ありがとう券ですよね」

うしろむき夕食店「商いよろしマカロニグラタン」

お金は何かしらの対価としてやりとりをするときに使う。
そのお金を「ありがとう」を手渡すことではないかと言う。
毎月の給料が自分の口座に振り込まれているとき、別に「ありがとう」なんて思ったことがなかった。
(むしろ時間的な拘束をされているのだから貰うのは当たり前だと思っていた…。)
チラシ作成の仕事をすると直接「ありがとう」とお金を頂く時がある。
確かに仕事をした対価としてお金を受け取っているが、金額以上の気持ちを受け取っているような気持ちになる。
その時の気持ちを言葉にしてもらったような気がした。

「人生に失敗なんて、あるものですか。そのときどきでうまくいかないことがあっても、それは失敗じゃなく、めぐりあわせですよ。仮にうまくいかないのなら、その場所は、うまくいくための経由地なの。時間が経てば、それも必要な経験だったと思えます。アタシはね、ひとの未来はすべて幸せにつながっていると信じてますよ」

うしろむき夕食店「待ちびと来たるハンバーグ」

「もちろん、選ぶのはあなただし、行動するのもあなた。あなたには、自分の世界を変えることができる力があるの。あせったり迷ったりしたら、一度うしろを振り返ってごらんなさい。誰かの道をなぞるのじゃなく、あなたは、あなたの道を歩いていると、ちゃんとわかるはずだから」

うしろむき夕食店「待ちびと来たるハンバーグ」

店主の志満さんの言葉。
振り返ったとき「あの頃はしんどかったなぁ」と笑える日がくるように、自分で決めて行動をしないといけないと元気づけてもらった。
どうしても誰かが歩んだ成功した道を歩きたくなってSNSで色んな成功例を探したくなる。
同じ例はないし、人それぞれ違うのが当たり前なのだから、ローモデルを探してばかりではなく、自分で道を見つけなければならない。
書かれている言葉ひとつひとつが心に刺さる小説だった。

縁結びカツサンド

商店街にあるパン屋さんに訪れるお客さんや店主さんのお悩みが、ちょっとしたきっかけで少しずつ前に進むお話。
縁結びって恋愛だけじゃない。
「ひとりで生きていく!」と20代は強がってたこともあるが、結局助け助けられの社会だなぁと思うことが最近多い。
悩みが解決しそうになったり、新しいことが始まるときは、何かしらの「縁」がきっかけになることが多い。
この本を読んだあと、衝動的にカツサンドを食べたくなった私はカツサンドを買いに走った。
だが、運悪く、エビカツサンドやハムカツサンドはあるのに、普通のカツサンドはない。
カツサンドってこんなに置いてないもんなの…?
何軒かコンビニとパン屋を回った結果、買えなかった悔しさを今でも覚えている。

すきだらけのビストロ

移動式のお店「ビストロつくし」
お店を開くときにお世話になった「翁」という人物を探しながら、旅先でお店を出し、色々な人に関わっていくお話。
ビストロってよく分からないが、どの料理も説明を読む限り、美味しそう。
美術館のカップルの話が好き。
絵の良し悪しなんて分からないし、美術館に行くなら、その絵が描かれた時代背景とか知らないと楽しめないのかなぁとか色々と考えてしまうが、絵を見たときに直感的に感じた「きれい」「これ好き」な気持ちだけで十分な気もする。
あまり深く考えすぎず、分からないなら分からないままで、感じたまま楽しめば良いと教えてもらった。

最後に

そんな美味しくて、あたたかいお話が楽しめる冬森灯さんの本は、食べることが好き!今なんとなく疲れてる!そんな方におすすめ。
「うしろむき夕食店」を読んでから「美味しい食事が出てくる小説」を探して読むようになった。
テレビとかYouTubeで美味しそうにご飯を食べている人をついつい見てしまうことがあるが、文章も同じだと思う。
文章の描写だけで美味しさや空腹を刺激してくることに驚いた。
でも絵がない分、想像力を働かせて、その食べ物を思い浮かべないといけないから、余計に気になるのかもしれない。

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まい
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