【超ショートショート】何も起きなかった話
むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは山へ芝刈りに、
おばあさんは川へ洗濯に行きました。
すると川上の方からどんぶらこどんぶらこと、
大きな桃が流れてきました。
おばあさんは洗濯に夢中で全く気づきませんでした。
大きな桃はどんぶらこどんぶらこと川下へ流れて行きました。
そして別のあるところでは、浜辺で子供達が亀をいじめていました。
そこに通り掛かった浦島太郎という青年はそれを見て、
(物騒な世の中だなぁ…)
と思いながら通り過ぎました。
あるところでは、ガラスの靴を落としたシンデレラのことを、王子様は探そうとせず、
またあるところでは、木こりが湖に斧を落とさずにその日の仕事を終え、
またあるところでは、白雪姫が毒りんごを「けっこうです」と断っていました。
結局何も起きない日常が1番、"めでたし、めでたし"なのでした。
いいなと思ったら応援しよう!
面白かった、もしくは面白くはなかったけど、伸びしろは感じる、といった場合には、ぜひともサポートのほどよろしくお願いいたします!