【ショートショート】忙しい夏
今年の夏は本当に忙しかった。
駐車場の猫があくびをしていたもんだから、長い長い下り坂を君を自転車の後ろに乗せてゆっくりゆっくり下っていたら、
いつの間にか走る雲の影を飛び越えていて、
気付いたら、夏の星座にぶら下がって上から花火を見下ろすことになっちゃって、
パッと光って咲いた花火を見てたら、まだ終わらない夏が曖昧な心を解かして繋いだものだから、
とりあえず四六時中も好きと言って、夢の中に連れていってって言って、
でもよく考えたら、君は常夏の楽園ベイベーだったので、
だから僕は、10年後の8月また出会えるのを信じて、
そしたら、「Stop the season in the sun!」って聞こえたもんで、
君と向き合ってした、線香花火の僕の火はまだ消えてはいないって気づいたんだよね。
あー忙しかった。
いいなと思ったら応援しよう!
面白かった、もしくは面白くはなかったけど、伸びしろは感じる、といった場合には、ぜひともサポートのほどよろしくお願いいたします!