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【はじめて買ったCDの話】シーソーゲーム

お題企画で#はじめて買ったCDというものがあったので、僕もその話を書こうと思う。

僕が初めて買ったCDは、Mr.Childrenの『シーソーゲーム〜勇敢な恋の歌〜』だ。

(https://www.hmv.co.jp/artist_Mr-Children_000000000012920/item_〜勇敢な恋の歌〜_471828)

1995年発売。僕は8歳のときにこのCDを購入した。

今の若い子達は見たことがないと思う、CDシングルが縦長のケースに入っていた頃の話だ。

なぜかケースの下の部分に、余分なプラッチックのアミアミがあるのだ。

これだ。

(http://www.jisaka.com/archives/20800906.html)


今思えば、このアミアミの部分を作る会社への忖度が働いて、この形になったとしか思えない作りである。


話を戻す。


言わずと知れたビッグバンドMr.ChildrenのCDが、僕が初めて買ったCDなわけだが。

1995年。この頃の日本の時代背景を説明すると、小室哲哉がJ-POP界を席巻し、日本人全員が『愛ラブSMAP』を見るという時代であった。

今思えば、このTKプロデュースの曲を聴いて愛ラブSMAPを見るという、当時の日本人のデフォルトみたいな生活を送っていた、姉や母への反抗心みたいなものから、僕はミスチルを購入したのではないかと思う。

8歳。小学3年生。
少し大人ぶりたい年頃な気もしないでもない。

念願のミスチルを購入したわけだが、
この『シーソーゲーム』で桜井和寿が表現する、人間の普遍的な恋愛への考え方の哲学的な描写、つまり歌詞の意味などわかるはずがないのである。

まだ、8歳。つい最近二足歩行できるようになったくらいの超若輩者に理解できるはずがないのである。

自分の知らない日本語の並ぶ歌詞カードを目の前にして、8歳の竹内少年は、とりあえず単語の解読から始めたわけである。

一つ一つ丁寧に、わからない単語を母親に尋ねていた。

結果、僕はこの曲で、"等身大"という日本語の意味を知ることができた。

僕等の世代、over30世代の人間が"等身大"という日本語の意味を理解するのは、100万回の愛してるなんかよりもずっと大切なものがあることを教えてくれたAqua Timezの出現以降のはずである。
あのラブソングで初めて"等身大"の意味を理解するのである。

それより遥か昔、8歳にして"等身大"という日本語の意味を知った人間なんぞ、日本広しと言えども同世代では僕くらいなものだろう。


母親に教えてもらった単語の意味を繋ぎ合わせ、なんとか文章の基本を理解するくらいまではできるようになった。

しかし、中には、自分で理解したと思い込み、完全に誤った解釈をしてしまっていた単語もあった。

サビに出てくる、"エゴ"という単語だ。

恋なんて言わばエゴとエゴのシーソーゲーム

恐らくこの"エゴ"は、"エゴイズム"のことを言っているのだと思う。
しかし、8歳の竹内少年は、「エゴという何かがシーソーで遊んでいる」と、当然ながら考える。

そして、CDジャケットを見てみる。

(https://www.hmv.co.jp/artist_Mr-Children_000000000012920/item_〜勇敢な恋の歌〜_471828)



(https://www.hmv.co.jp/artist_Mr-Children_000000000012920/item_〜勇敢な恋の歌〜_471828)


ははーん、こいつだな、と。

こいつが"エゴ"だな、と。

8歳の竹内少年は、"エゴ"とは、

1. サルのこと
2. もしくはサルに似た生物
3. もしくはこのサルのキャラクターの名前

上記のいずれかと考えたのである。

いかにも8歳らしい解釈である。


と、まあなんとなく歌詞の意味を理解したら、次は歌えるように暗記をするわけである。
しかし子供というのはすごいもので、自分の興味のあるものに関しての物覚えの良さというものは半端ないのである。

すぐに全部歌えるようになった。

そして、お調子者だった8歳の竹内少年は、教室でみんなの前で『シーソーゲーム』を大熱唱するのである。

何遍も恋の辛さを味わったって
不思議なくらい人はまた恋に堕ちていく

と、8歳が歌っているのである。

恋の辛さも塩辛の旨さも味わったことのない超若輩者が、である。

当時担任だった高橋先生という女性の先生は、たしか25歳だった。

25歳の女性教員は、8歳の鼻垂れ小僧が

何遍も恋の辛さを味わったって
不思議なくらい人はまた恋に堕ちていく

と、教室で気持ちよく歌っているのを見て、なんと思っていたんだろうか。

「ガキが。笑かしよるわ。」

くらいには思っていただろう。


と、ここまで、自分のはじめて買ったCD、Mr.Childrenの『シーソーゲーム 〜勇敢な恋の歌〜』について、8歳のガキには歌詞の意味を理解することができなかった…ということを書いていたのだが。

これを書くに当たって改めてシーソーゲームを聴いてみて思ったことがある。

今でも歌詞の意味がよくわからないのである。

これについては、当然ながらミスチル側に落ち度は何もない。
10対0で僕が悪いのだ。

三十路を過ぎているにも関わらず、ミスチルの歌詞に共感できるほどの人生経験を積んでいないのだった。

本当に、ミスチルには色々と気づかされる。

いつか勇敢な戦士みたいな愛をしてみたいものだ。


<出典>シーソーゲーム ―勇敢な恋の歌―/Mr.Children 作詞:桜井和寿

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バイバイスプリット竹内
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