K映画『ゴジラ-1.0』20231107@TOHOシネマズ新宿
ゴジラー1.0
『ゴジラ』シリーズでは37作目であり、国産の実写作品としては通算30作目『シン・ゴジラ』以来7年ぶりとなり、ゴジラ生誕70周年記念作品と位置付けられている。
監督は『ALWAYS 三丁目の夕日』『スタンドバイミードラえもん』などの叙情的作品やフルCG作品のイメージの強い山崎貴。
山崎貴監督は『ALWAYS 続・三丁目の夕日』の冒頭で東京タワーを破壊し、堤真一ら家族と対峙するゴジラや、西武遊園地にある映像アトラクションの『ゴジラ・ザ・ライド』で映像の監修したゴジラとキングギドラを製作しており、すでにオリジナルゴジラを二体デザインしているので、安心感はあった。
とにかくユアストーリーさえしなければいいよって頭の片隅にあの時のトラウマを抱えたまま映画館に向かった。
一言。素晴らしかった。特にゴジラ。
ゴジラが素晴らしい時点で評価は確定した。
人間なんて正直どうでもいい。
『シン・ゴジラ』が人間だらけでゴジラがあまり出てこないから嫌いで、
とにかく怪獣として主人公としてゴジラに重きを置いていた平成VSシリーズやミレニアムシリーズの愛好者として、今回のいわゆる"マイゴジ"は評価できるポイントがいくつかあったのでまとめていきたい。
・ゴジラザウルス
冒頭、主人公の敷島が上陸する島の基地を15メートルほどの恐竜のような生き物『呉爾羅(ゴジラ)』が襲撃する。戦闘機の二倍くらいのちょうどいい大きさで人間をひょいひょい投げ飛ばしていく。
これは1991年『ゴジラVSキングギドラ』で1944年終戦前にラゴス島で日本軍が対峙するゴジラの祖先であり恐竜の生き残りとして登場したゴジラザウルスのオマージュである。ゴジラに滅ぼされた未来からきた未来人は過去に向かい、このゴジラザウルスを倒すことでゴジラがいない未来を作り出すという荒技を仕掛けてくる。
・過去類を見ない圧倒的な威力の放射熱線
ゴジラの放射熱線は体内の核融合反応で生まれたエネルギーを放出している。
マイゴジは終戦直後で人々の記憶に原爆が印象つけられている中で、それに匹敵する威力の放射熱線を吐く。海中から垂直に放たれた熱線は軍艦の上にキノコ雲を作る。
さらに、一番衝撃だったのは、放射熱線そのものの威力ではなく、それによって生じた凄まじい爆風で建物や自動車が吹き飛び、人が死んでいく様を描いたことだった。この威力をここまで表現したのは正直見たことがなかったので、劇場で声をあげてしまった。
・ゴジラは戦争の被害者
ゴジラは最後作戦によって倒されるのだが、この沈んでいくゴジラに対して戦った人々は敬礼する。
これは初代ゴジラから現在まで必ず引き継がれているテーマ
『ゴジラは人間が起こした戦争の被害者』に起因する。
1945年初代『ゴジラ』は人間の軍事力では歯が立たず、芹沢博士が開発した海中の酸素を無くして海の生物の命を根こそぎ奪ってしまう"オキシジェンデストロイヤー"でゴジラを骨にして撃退する。科学で生み出してしまったゴジラを科学で倒すという悲しいアンチテーゼで締めくくる。
さらに2001年『ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃』に登場するゴジラ史上最も凶悪な"GMKゴジラ"は、戦争の英霊の集合体として人間に復讐しに襲いかかってくるゴジラとして登場する。
マイゴジも戦争の被害者であり、終戦直後の日本人たちと同様戦争に対して、そして戦争を起こした人間に対して何かをぶつけたがっていた。ゴジラを倒すために団結した人間たちも彼も同じ被害者だと気づき、敬礼を捧げていたのだ。
・終幕後の匂わせ(死んでないゴジラ、G細胞の侵食)
ラスト。
ゴジラの襲撃を生き残った人物には奇妙な黒い模様が浮かび上がる。
さらに、バラバラになったはずのゴジラは細胞を分裂させ、海中で復活の機会を待っている。かつてはほぼ毎年作られていたVSシリーズやミレニアムゴジラシリーズではゴジラは敵怪獣を倒すと海に帰り、もし倒されることがあってもゴジラが持つ特殊な細胞G細胞の力で何度も蘇ってきた。ゴジラは死なない。死んだとしても受け継がれる。そんな前のゴジラのワクワクが思い出された。
さらに人間にゴジラの細胞が入ってしまうといえば1989年『ゴジラVSビオランテ』である。G細胞に人間(沢口靖子!)とバラの遺伝子を組み込んだバラが怪獣ビオランテとなる傑作なのだが、このビオランテは倒されたのちにG細胞を宇宙に放出することになり、そのG細胞が宇宙で細胞分裂を繰り返したことによって1994年『ゴジラVSスペースゴジラ』という最高の作品が生まれる。
そんな今後の展開もなんとなく示唆するような感じも平成ゴジラらしさを感じられて、ファンとしては興奮せざるを得ない演出だった。
うわー楽しかった。
実は今年と来年はゴジラ豊作の年。
『ゴジラ-1.0』から始まり、
AppleTVで17日から配信が始まったレジェンダリーゴジラの世界観を引き継ぐ海外ドラマシリーズ『モナーク:レガシーオブモンスターズ』
メガロ50周年、ジェットジャガー50周年を記念して作られた短編
『ゴジラ対メガロ』『オペレーション・ジェットジャガー』など
ゴジラ熱が止まらない。
K
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