子どもの化学物質過敏症
注釈
子どもの化学物質過敏症
子どもの化学物質過敏症発症も少なくありません。
近年、お子さんの化学物質過敏症発症は増加傾向にあると言われています。
これには、いくつかの要因が考えられます。
化学物質過敏症は、外的要因に起因する環境病とも言われていて、この数十年にはなかった何らかの外的要因が増加していることにより、昔には少なかった化学物質過敏症の発症者が増えている。
化学物質過敏症の啓発により、お子さんの化学物質過敏症の発症に気づく親御さん始め、周りの大人が増えている。特に、お子さんの病気は、親御さん始め、周りの大人が気がつかなければ、診断に至らない場合が多々あります。社会的認知度が上がるに連れて、お子さんの不調の原因に気づかれる周りの方が増えるかもしれません。
また、以前より、化学物質過敏症の知見のある医師が増えることで正しい診断に繋がる子どもが増えているという可能性もあるかもしれません。
お子さんに限らずですが、化学物質過敏症発症者の増加傾向には、多角的な要因が考えられます。
化学物質過敏症様症状を示す児童
2017年に行われたて7,224名の児童を対象に行われたアンケートにおいて、化学物質過敏症様症状を示す児童・生徒は全体の12.1%にあたる874名であったという調査結果が出されています。
「化学物質過敏症−上越市における調査結果に基づいて」永吉雅人、Simon Elderton、平澤則子、飯吉 令枝、野口裕子、久保野裕子、境原三津夫、大庭重 治 より
*上越教育大学特別支援教育実践研究センター紀要,第26巻,39-41,令和2年3月
重症化し得る子どもの化学物質過敏症
お子さんの化学物質過敏症は、親御さん始め、周りの大人が気がつかなければ、診断に至らない場合も少なくありません。
お子さんの不調に周りの大人が気がつかれた時には、既に重症化している可能性があります。
お子さんの化学物質過敏症の症状を発症初期の段階で気がつくというのは、未だ、難しい状況です。
また、発症の早期発見に至っても、重症化する子どももいます。
化学物質過敏症の発症原因はまだわかっていませんが、今後、発症秩序が明らかになっていく中で、子どもの重症化に関しても、明らかになってくるところがあると思います。
子どもの教育、学校生活
子どもに限ったことではありませんが、化学物質過敏症は、重症化すると、社会生活を営むことが大変に困難になります。
子どもにおいては、学校に通えなくなり、教育の機会を失ってしまうこともあります。
「化学物質過敏症に苦しむ兄弟のために 小学校が特殊建材で専用教室」(京都新聞) の記事では、京都府与謝野町の岩滝小が、化学物質過敏症の専用の教室を造った事例が上げられています。
重症化する化学物質過敏症に関して、岩滝小の宮﨑竜也校長が、「ここまで深刻な病気だとは思っていなかった」と述べられているように、重症化する子どもの生活はまだまだ社会に伝わっていません。
教師や友人にも会えなくなり、自宅で1人で勉強をせざるを得ない子どももいます。屋外でテントで過ごしたり、転地を繰り返す子どももいます。