介護という仕事
私は介護福祉士として、老人ホームで働いている。
介護士というのは本当に不足している。
私は、最近まで自分の職業に自信が持てなかった。
というのは、以前認知症の男性から
「お前らはバカだからこんな仕事しかできないんだ。こんな仕事誰にでも出来るじゃないか、オムツ交換やらゴミ拾いやらお散歩やら。クズがやる仕事だ。昔からいるんだよ、クズがやるべき仕事ってのが。だからお前ごときが俺に偉そうなことを言うな!」
と言われたことがあって、私はとても傷ついたのだった。
この認知症の男性は、いわゆるエリートで大手の〇〇化学という会社の重役だった人。
この人をお風呂に案内するのに、私は「お風呂の時間になったのでご案内しますね」と声をかけたのだ。認知症の人はお風呂を嫌がる人が多い。この人もそういうタイプの人。
年下の女なんかに風呂に入れてもらうなんて、俺のプライドが許さない!と思い、強く責めるような言い方をしたのでしょう。
私はショックだった。しかも当時は自分のことが嫌いで、私は確かにバカだし、エリートから見たらしょうもない仕事なんだろうな、と自分に劣等感を抱いた。
月日が経った。
私は、以前より自分が好きになった。
そうしたら、あのクソジジィの言っていることはてんで間違っているどころか、私は素晴らしい仕事をしていることに気がついた。
私はエリートではない。
でもこの間おばあさんをお風呂に入れた時、おばあさんが「あぁ、気持ちいいわぁ。あなたはゆっくり時間を取って入れてくれるから今日はツイてるわ、嬉しい」と言われて私は、あのクソジジィがやはり間違っていると思った(しつこい)
私は、人の喜んだ顔が見たい。
それを見て私も嬉しくなる。
エリートじゃなくても、簡単な仕事だったとしても、私は人が「うわぁ✨」と喜ぶ姿が見たくてこの仕事をしている。
おばあさんがお花を見て喜んでいる。
おじいさんに冷えたビールを注ぐと笑顔になる。
私は心の底で、私はエリートじゃないから、バカにされてしまうんだ、私の仕事はとるに足らない仕事で、仕事とは言えないものだもんな、と自分で自分を貶めていただけだった。
私はおばあさんをお風呂入れながら、少し泣いた。
私いい仕事してんじゃん。
こんないい仕事ないよ。
人が喜ぶのを見て、自分も喜ぶなんて、こんな最高な仕事ないよ。
あのクソジジィに私の爪の垢でも飲ませてやりたい!と思ったが、あのイジワルなセリフを言われなかったら私は自分の仕事にずっと自信が持てないままだったろうと思う。
自分を貶めたまま生きていただろう。
いい仕事なんだけどね、人手不足をほんとに解消してもらいたい!
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