病めるマリオネットの学生生活
好きな色が分からなくなったのは、いつだろう。
欲しいものを聞かれて、答えられなくなったのは、いつからだろう。
周りに求められている答えしか用意しなくなったのはいつだろう。
2つ目の記事のとおり小学校低学年の頃には、人知れず壊れ始めていた私は、その後もどんどん崩壊していった。
家庭で求められる姿を演じ続けたためか、どんどん本当の自分がわからなくなった。
友達に、
『なにいろがすき?』と聞かれても、何も浮かばなかった。
困った私は、当時の友だちが好きだといったから、同じように、『水色かな』と答えた。
水色だって嫌いな色ではなかったのに、むしろ好きな方ではあったのに、あの時に感じた違和感は、小骨が喉に刺さったかのように、数十年経っても忘れられない。
そんな生活を続けているうちに、私は学校でバイキン扱いされるようになった。
子どもたちは異質なものに敏感だ。
私の何かに嫌悪を抱いたのかもしれない。
私物はどこかに隠され、私に話しかける同性はいなくなった。上履きを履くたびに、画鋲が入っていないか、確認するのが日課になった。
前日まで仲良しだと思っていた友人たちは、皆離れていった。理由は分からない。
世界にひとりぼっちみたいな感覚に陥った。
心が奈落の底に落とされたみたいな感覚は、あの時が初めてだった。
誰も私を愛してくれない。
必要としてくれない。
やっぱり、私は嫌われる人間なんだ。
私が悪いんだ。
ひとりになった帰り道、声を上げて泣いた。
誰もいない田舎の通学路の隅で、すすきが風に揺れていた。
明日が来るのがこんなに嫌になるなんて、思ってもみなかった。
何のために生きてるんだろう…
考えてみたけれど、きらきらしたものは何も浮かんでこなくて、ひと月先の月刊誌の発売日までは頑張ろう、そんな思いで生きる日々が始まった。
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