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最大のバリアは浴室
中途障害者のオレが個人的に考えるには、オレのような要介護認定者の一人暮らしの日々の生活介助には、ハード・ツール・ソフトという3つの要素が不可欠かと。
すなわち、まずは住環境という容れ物としてのハード。
そして次に、そのハードと利用者に適した介護用品というツール(道具)。このツールには、広義に杖や車椅子、手すりも含まれると思います。
最後のソフトは、介助者による人的なサービス(支援)です。
たとえば、現在オレは帰郷前の生活時に使っていたシャワー椅子やバスボードといった介護アイテムを保有しているのですが、これは昨今のユニットバスルームでの使用を前提に作られているので、今の昭和の浴室では使えない、はっきり言って今は無用の長物なツール。
いつの時代だって各種生活用品の開発は、その時点で最も汎用性の高い規格に合わせるのが道理だから、ある意味それは当たり前。
一方、現居の浴室で使っている木製のバスボードは、関係業者の方のハンドメイドによる一品モノ。コレはこれでその作るお手間やご苦労を考えたら、ありがたいことこの上ないものなのですが、悲しいかな、おそらくここでしか使えません。
ガスバランス釜全盛の半世紀前の設計で建てられた物件じゃなければ、今どき80センチのほぼ立方体のようなバスタブを未だに使ってる家なんて、むしろ探す方が大変だものね。
閑話休題。
一般的な賃貸物件の場合、オレが定義した最初の原則のハードの部分を、たとえ利用者が望んだとしても使いやすいよう安易に手直しするなんてことは現実的には極めて困難。そんな店子の個人的な事情やお願いよりも、家主さんのご都合やお考えの方が当然優先されるからね。
もちろん、オレだって次の転居先での入浴時に、死蔵している現有アイテムがすべてすぐに活用できるとは思っていません。
それは、あくまでオレのリハビリの進捗というその時点での肉体的な能力と、費用対効果の高い環境(ハード)の改善と、療法士さんが許容できる身体動作と介助のノウハウなどのすべてが破綻なく合致して安全が確立されないとダメな問題だから。
ただオレの残りの人生をミドルスパンで考えた場合、いくら家主さんを含めた関係者の皆さんの帰郷からこれまでオレに与えていただいたご配慮やご厚意に、強く恩義を感じるべきだとしても、このまま昭和の木造賃貸に住み続けるよりは、同じザ・昭和でも鉄筋コンクリート製のマンションに改めて暮らす方が、今後の生活介助の面からも、オレ自身の生活の質の向上という面から見ても、後者の方に断然メリットも展望も期待できるわけです。
そういった、オレにとっては合理的ではありますが、一度も賃借契約を更新することなく退出するという、あからさまな契約違反ではないにしろ、世間的には極めて恩知らずな判断を今回オレは下したわけですよ。
この判断によるオレへの社会的な評価や非難は甘んじて受け入れるしかありません。
と、ここまで連連と記したのは、実は今日も、昨日に引き続き「帰郷してからのこの短い期間(約2年間)に、なぜまた(2度目、帰郷時を入れると3回目の)転居をするのか?」という各方面からの素朴な疑問に対するオレの答えとなる大きな要因の一つを、それなりに誠実かつ直截に書いたつもりだからなのです。
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