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ブリティッシュメイド青山店を訪ねて: GLENROYAL(グレンロイヤル)Part 2
前回にひきつづき、GLENROYAL(グレンロイヤル)の回をお届けします!
■ GLENROYAL(グレンロイヤル)のバッグコレクション
川口:グレンロイヤルはアイテムのバリエーションが本当に豊富ですよね。
Y:でも、バッグから始まったブランドなんですよね?
川口:はい。昔の社名は違うんですけれど、最初はバッグの製造の下請けから始まったメーカーだそうです。だからバッグはすごく得意です。
ライトウェイト ブリーフケース
Y:バッグだとどのデザインが人気ですか?
川口:以前は、「ライトウェイト ブリーフケース」が断トツの人気でした。それが3年くらい前からですか、ビジネススタイルがカジュアル化してきて、みなさんリュックなどを背負って通勤されるようになったこともあり、だんだん「トートバッグ」の人気が高まってきました。
僕が知る限りで一番古いトートバッグはこの「ビッグ トートバッグ」です。それからトートバッグのバリエーションが増えました。ビッグ トートバッグは人気ですよ。カジュアルではあるけれど、フルレザーなのでカジュアルになりすぎない。そういうところがいいんでしょうね。
ビッグ トートバッグ(左)と2ハンドル トートバッグ(右)
Y:ビッグ トートバッグはブルームの感じもかっこいいですよね。
川口:このビッグ トートバッグ(写真上の左)に関しては、ブルームが出すぎて真っ白だったので、少しブルームを落として店頭にお出ししています。色もわからない状態だったので(笑)
Y:この2つを比べても一目瞭然ですけど、ブルームには本当に個体差がありますね。ところで、ビッグ トートバッグは女性にはどうですか?堅牢な革をふんだんに使ったバッグと聞くと、わたしには少し重すぎるんじゃないかと心配になるのですが。
川口:女性にも持てるように重さは考えてありますよ。持ってみてください。
Y:あ!思ったほど重くない!
川口:女性の場合、重さよりも大きさを気にされる方のほうが多いです。ビッグというだけあってサイズがかなり大きいので、身長が高い方のほうが持ったときのバランスはいいかもしれません。
170cmの女性スタッフがビッグ トートバッグを持ったとき
2ハンドルトートバッグ(着用カラー:GREY)
川口:女性の方には、グレイスコレクションから2020年に新登場したA4やA5のトートバッグやショルダーバッグがかなり人気です。肩にかけて使えますし、トレンド感があって素敵ですよね。
Y:トープというカラーも使いやすくていいですね。
川口:ブライドルレザーというと堅牢なイメージですよね。バッグのサイズが大きくなればなるほど、どうしても角張った印象になりがちです。だからでしょうか、女性にはコンパクトなサイズのほうが人気はあるみたいです。
川口:僕が接客していて感じることなんですけれど、女性の方には経年変化(エイジング)の楽しさがあまりはまらないのかなと。できるだけ最初のイメージのままキレイに使いたいという方のほうが多いのかなと思います。
Y:わかる気がします。エイジングにはまっている友だちはあまりいないかも。もちろんゼロではないですけど、マジョリティーではないですね。
川口:「味が出てくる」や「革を育てる」というような楽しみ方をなさるのは男性のお客様が多いように感じています。なので、女性のお客様にもエイジングの魅力をぜひ知っていただきたいです!
一方で、この「サッチェルバッグ」のように、世に形が認められていて、なおかつ堅くて当たり前というようなものは、女性の方にも受け入れられやすいです。
Y:角張っていてこそのサッチェルバッグですもんね。ブライドルレザーと親和性が高いデザインなのかも。
川口:サイズも大・中・小あるんですよ。
Y:あ!ベルト部分はマグネットなんですね!出し入れの煩わしさがなくていいですね。
サッチェルバッグ(13インチ)
■ 雨の水染みはつきやすい?
Y:ところで、雨についてなんですけど、イギリスはよく雨が降るじゃないですか。イギリス人は革の水染みとか気にしないんですかね?
川口:これはお国柄だと思うんですけど、日本人は水染みを気にされる方が多いと思います。「きれいに保ちたい」というコレクションの気持ちがどこかにあるんじゃないかなと。「これは水に弱いんですか?」とよく質問されるんですが、「水に弱い」ことと「染みがつきやすい」ことを同義にされている方も多いようです。ブライドルレザーはもともと馬具に使われている革なので、むちゃくちゃ濡れる環境にあるわけです。もし水に弱い革なら、現代まで残っていないと思いますよ。なので「弱くないです、強いです」とお答えしています。ただ、水に濡れれば染みはできます。だからこそケアをして、染みができるのを極力抑えて、栄養を含ませた良い状態にしてあげることが大切です。
Y:ケアしながら大切に使えば、小さな傷や水染みさえバッグの個性と思えるようになるかもしれませんね。
川口:また、こういうレザーバッグを買われた方に、バッグも何個かお持ちになったほうがいいですよと、よくお伝えするんです。みなさん靴は履き替えるのに、バッグは持ち替えないですよね。するとバッグは一番早くダメになりますよ、と。
Y:そうですよね。
川口:というわけで、もう1つ鞄はいかがですか?(笑)
Y:商売がお上手(笑)
■ スコットランドとアザミの関係
Y:川口さんはグレンロイヤルの工場に行ったことがあるそうですね?
川口:旧工場のほうに行ったことがありますよ。その当時は工場というより工房でした。地元の女性たちが職人さんとして働いていました。
グレンロイヤルのアイテムはですね、一つ一つ職人さんたちが手作りしているんです。だから、ハイエンドブランドの高級アイテムとも、大量生産で作られたアイテムとも違う魅力があるんです。
Y:流行に左右されないモノが好きな方に支持されそうですね。
川口:野球に例えるなら、巨人よりも広島カープが好きという方ですかね(笑)
Y:「スコットランドのファンだからグレンロイヤル!」っていう方もいたりするんですか?
川口:ほぼいないですね。やはりスコットランドも含めたイギリスファンの方が多いので。
Y:あら、残念。わたし実はイギリスの中でも特にスコットランドのファンなんですよ。イングランドと戦ってきた歴史と、その「ブレイブハート」に惚れているんです。
川口:メル・ギブソンじゃないですか(笑)
Y:そう、その映画です(笑)
川口:そういう戦いの歴史を背景に騎馬の文化が育まれ、ブライドルレザーをはじめとする丈夫な馬具が作られてきたのかもしれないですね。
グレンロイヤルのロゴに配されているアザミ
Y:グレンロイヤルのロゴにある植物、これはアザミなんですよね?
川口:そう、アザミはスコットランドの国花なんですよ。アザミは昔からその棘を使ってニットを毛羽立たせたりするじゃないですか。つまり、皮膚にあたると痛いんですよね。アザミがいっぱい生えていたおかげで外敵から国土を守ることができたので、国花になったそうですよ。まあこれには諸説あるそうですが。
Y:それは知りませんでした!わたしは昔、スコットランドのハイランド地方を旅行したことがあります。曇天の空の下、冷たい風の吹き荒れる大草原がどこまでも広がっていて、そこに紫色の花をつけたアザミだけがいっぱい咲いているんです。この厳しい自然の風景に、バグパイプの物悲しい音色がぴったり合うんですよ。スコットランド人の情緒に触れた気がしました。
グレンロイヤルは、アザミを刻印することで、スコットランドのスピリットを込めているのかもしれませんね。
■ 川口店長ありがとうございます!
ブリティッシュメイド青山本店の川口店長
青山本店への初めての訪問でしたが、いかがでしたでしょうか?
みなさんもぜひブリティッシュメイドの店舗へ足を運んでみてください。今回の取材で感じましたが、初見のインスピレーションや実際に手にした感覚は、どんな情報にも代え難く、長く愛用したいと思えるかどうかを決定づけてくれるものだと思います。
さらに、知識豊富な川口店長やスタッフのみなさんとお話すれば、気になっていたモノをもっと好きになれますよ!
ここまで読んでいただきありがとうございます。
次回もどうぞお楽しみに!
YOKO