
renge-kyo〜ちいさな花束|#ショートショート
A短歌会でお世話になっている、深水英一郎様のXのお題を拝見。
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🟠お題でつくろう
— 深水英一郎(お題でつくろう) (@fukamie) January 26, 2025
お題「目を覚ますとちいさな花束を握りしめていた」
自由に発想して作品をつくってください。
短歌,連作,俳句,詩,自由律,短文学,マイクロノベル,大喜利,音楽,絵などあらゆる表現を歓迎します#ことばの断片 #短文学 #お題でつくろう pic.twitter.com/VIsxdoYBD8
お題
【目を覚ますとちいさな花束を握りしめていた】
より、今回は短歌ではなく、短文学で創作してみました。
renge−kyo
〜ちいさな花束

―――目を覚ますと・・・
ちいさな花束を、握りしめていた・・・
❄ ❄ ❄
右の手のひらに、くしゃくしゃになった蓮華の花束。花弁はまだルビー色をしている。
私は泣いていたのだろう。目を開けようとして、上瞼と下瞼が貼り付いたので、開けにくかった。
❄ ❄ ❄
昨夜、酔っ払って、ふらふらと千鳥足のまま家へ帰ろうとした。
・・・失恋したのだ。彼におしぼりを投げつけて、店から出た。
ガードレールの内側で歩く私は、端から見たら危なげだったに違いない。左側は畑の土地で、今は蓮華がいちめんに咲いていた。
「蓮華・・・」と私はつぶやいた。
目の中の蓮華は霞んで、極楽浄土に見えた。急に、子供の頃夢中で摘んだ記憶が甦って、飛び込むように畑に降りた。
蓮華の小さな花弁は、幾重にも重なって、作り物のように美しく、可憐だった。その可憐さを身体に取り込みたくて、何本も何本も手のひらに収めた。
私の頬に・・・知らず、熱いものが絶え間なく零れていた。
汚れることなど忘れて、蓮華に囲まれながら仰向けに寝転んだ。腕をいっぱいに広げて・・・
得も言われぬ開放感。
満月が、朧(おぼ)ろに揺れていた。
私の心は、次第に満たされていった・・・
(―――もうよそう、振り返るのは。
明日から、違う人生を生きよう)
小さな蓮華の花束を後生大事に握りしめて、私は起き上がった。
【fin】
深水英一郎様、拙作ですが、ご査収よろしくお願いいたします。

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🌟Iam a little noter.🌟
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