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Momotaro ロマンス〜甘い鳥籠③|#スピンオフ

 このお話は、Momotaroという主人公にまつわる第二話(ふたりめの女性)の続篇です。


 よろしければ、以下の前段をご高覧下さいませ!


🌹Momotaroロマンス 第二話🌹

↓ ↓ ↓



【登場人物】



也哉子《ややこ》…アラサー、独身、彼氏ナシの事務員。



Momotaro…デパートのウインドウディスプレイをしていた、2カ国語を操るスタッフ。




【前話のハイライト】


「―――これは、あなたがデザインした服なんですか?」



 【モモタロウ】はうなずき、立ったまま片方の手で頬杖をつくようにして、也哉子に言った。



「この前お会いしてから、ちょっとお願いしたいと思っていたことがあるんですよ。

 ―――良かったら、デパートの僕のショップでお手伝いして頂けませんか?」


「Momotaro ロマンス〜甘い鳥籠②」



Momotaro ロマンス
〜甘い鳥籠③




「あなたにお願いしたいことがあるんです。

 週末だけでも良いので、お店に立って頂けませんか?」


 ごくさり気ない口調で、彼は也哉子ややこに雇い入れの話を持ちかけた。―――聞き違えか、とうろたえながら、也哉子は言葉を返した。


「え・・・あの、『私』が、『あなた』のお店に・・・?」


 Momotaroは白い歯を見せて微笑んだ。


「来週から、僕のブランドのポップアップストアがまたこちらで催されます。

 それで、ディスプレイをさせてもらったんですよ。

 ・・・あなたに、マヌカンとして服を着て欲しいのです」 

 

 彼からの思いも寄らない申し出。背の高い彼から託宣のように言われ、也哉子は混乱し、くらくらしてきた。


(あんな服を着て、店頭に立つ・・・いやいや、無理無理無理無理!!)


 きっと、【大根が服を着る】ほどの違和感があるに違いない。


 思わず咳払いをする。

「あの、私なんかより、きっとあなたの服が似合う女性ひとがいるでしょう?

 モデル事務所とか、あたったほうが・・・」


「―――この前、お会いしたとき」


 さえぎるように、Momotaroはよく響く声で言った。


「あなたなら、きっと僕のコンセプトを表現出来そうだと感じたんです。

 あなたは、【原石】だ。

 なるべくそのままを活かしてみたい。

 僕に任せて・・・」


 Momotaroは也哉子の肩にそっと手を置いて、安心させるような笑みをもらした。


 彼の言葉と振る舞いは、親鳥が羽根で雛鳥を包み込むような、頼もしさがあった。





  Momotaroは、デパートの中にあるカフェに也哉子を誘って、簡単な打ち合わせをした。


 先ず、今勤めている会社がダブルワーク可能であるかの確認。


 店へ立つまでの準備としては、彼の知り合いの店で髪を整えること。


 メイクは、店の女性スタッフが当日の朝、也哉子に施すので素顔で出勤すること。


 コーディネートは、Momotaroが一式その都度用意しておいたものに着替えること。


 販売はとくに意識せず、彼か女性スタッフに、お客様をつなぐ形で構わないこと。


 ・・・諸々のポイントに加えて、時給や勤務時間、休憩時間などもMomotaroは説明した。



「―――どうですか?引き受けてくれますか?」


 Momotaroは最高の笑顔を也哉子に向けた。真意を探ろうと、まじまじと彼の顔を見ると、細めた目で也哉子と視線を合わせたまま、優雅にコーヒーカップを持ち上げたのだった。



▶Que Song

本能/野田愛実(COVER)




 お読み頂き有難うございました!!


 本日は出先からのため、短いnoteとなります。ご容赦下さいませ!!


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 また、次の記事でお会いしましょう!



🌟Iam a little noter.🌟



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