魚ビジネス ながさき一生
寿司が好きなこと、又、食料問題、環境問題に関心があるので本書を手にした。
著者はながさき一生さん、おさかなコーディネーターとして活躍され現場、市場に携わる者の視点で網羅的、かつ分かり易く魚を巡るビジネスとその舞台裏を紹介されてます。
魚は同じ物でも、どういう扱い方をされてきたか?
特に漁法でその品質に差がでる。
魚は変化が激しく、食べ手の私たちへの提案は多種多様だ。
近年の養殖では餌の改良も進み、安全面でも味も改良されていると述べられてる。
獲れたてを超低温で急速冷凍すれば、(時間は止まり)鮮度を保てるが結晶化によって細胞が壊されて、冷蔵の生魚の方が美味しいこともある。
卸が地域の特性にあった魚を目利きして集め、その魚を仲卸が更に目利きし、お客ごとに求める魚を提供するのがスタンス。
日本の地形が豊富な魚の種類に繋がり、それによって多様な食文化、捕獲方法が生れたのは興味深い。
肉も好きだが、年々魚を体が欲するようになってきて寿司屋に行くことが増えてきた。
その寿司について面白かったのはやはりネタについて。
新鮮であることが最上ならば一流と呼ばれるお店は沿岸部にあって然るべきだがそうではない。
鮮度を犠牲にしてまで大都市に一流店が集まるのはなぜか?
魚は流通先で鮮度は低下する。
がそこがポイントで熟成が進み、旨味が増すからだと。
産地の強みは鮮度だが、市場の強みは多様性、多品種の魚が集まることで各ニーズにアジャストしてるのが理解できた。
天然魚は多種多様で、養殖はニーズの高い魚を丸々一匹安定供給。
培養はニーズの高い魚の一定部位を供給と述べられており、期待が膨らんだのは養殖と培養肉だ。
漁法による海洋プラスチックに漂流によるマイクロプラスチックの問題で天然ものに拘るあまり、その副作用も大きいと感じていた。
そう遠くない未来に養殖魚を凌駕し、培養魚が市場を席捲する日も来ると思える。
日本が国家として存続してく為には、農業も含めての第一次産業の抜本塞源が必要で、本書ではそういった観点からも未来に示唆されておりとても面白く一気に読めました。