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落選続きだったのに、小説新人賞の最終選考に残れた理由

7月18日刊行の「夏のピルグリム」は、第12回ポプラ社小説新人賞奨励賞を受賞した作品です。

少しも自慢できることではないのですが、新人賞に長い間応募し続けたのに、最終選考に残ったことはそれまで一度もありませんでした。それなのに、どうして残れて、受賞できたのか。
本当の理由は選考委員の方しかわかりませんが、ひとつ思い当たることがあります。

それは、賞の特徴と応募した作品の内容が合っていたということです。
受賞した「夏のピルグリム」は13歳の女の子が主人公の物語です。傷ついた夏子が日本各地で様々な人々と出会い、回復していくロードノベルです。激しい場面も恋愛シーンもありません。
面白い物語になったと思いましたが、完全なエンタメ小説とはちょっと言いにくい内容です。

この小説が完成したときに、どの新人賞へ応募しようか色々調べて、「ポプラ社小説新人賞」に決めました。
ポプラ社は、「かいけつゾロリ」や「ズッコケ三人組」など子供向けの本を多く出版している会社です(一般書籍も出版しています)。
歴代の「ポプラ社小説新人賞」受賞作に過激な作品は少なく、少年少女が主人公の作品も多くありました。
夏のピルグリム」は、出版社が求めている作品に合っているのでは? と考え応募しました。

その結果、最終選考に残り、奨励賞をいただくことができました。今まで何度応募してもダメだったのに。
何年も書いてきて、ようやく賞に値する作品が書ける技量がついてきたこともありますが、どんなに優秀な作品でも、出版社と新人賞に合っていないと受賞は難しいと思います。
もちろん、カテゴリーエラーのハンディを乗り越えるほど飛び抜けて優秀な作品なら受賞することもあるでしょう。
実際に、「第9回ポプラ社小説新人賞」受賞作の「二木先生」(夏木 志朋さん著)は、社風に合わないのでは? と最終選考で議論になった作品でしたが、反対意見を覆して受賞し、15万部を超えるベストセラーになっています。
それぐらい突き抜けた作品なら受賞することはありますが、受賞の確率を高めたいなら、作品に合った出版社と賞を見つけて応募するのもひとつの手段だと思います。

著者初の単行本形式の小説「夏のピルグリム」がポプラ社より発売中です。「ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作です。よろしかったら書店で手に取ってみてください。善い物語です!


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