見出し画像

小説家デビューは何歳で諦めないといけないのか

フォロワーさんのプロフィールを見ると、小説家志望の人を多く見かけます。このnoteは、小説に関する記事を掲載しているので、当然といえば当然です。少しでもお役に立てているとよいのですが。

小説家になりたい気持ちは痛いほどわかります。それは、僕が商業デビューするまでに時間がかかったからです。
中学の頃に初めて小説を書き、高校の頃に小説家になりたいと思ってから、最初の小説を商業出版するまで、40年近くを費やしました。
もっと時間がかかった人もいるかもしれませんが、最長記録に近いんじゃないですかね。

その間、小説を書いていない時期もありましたが、小説のことはずっと頭の中にありました。遊んでいるときはこんなことをしていていいのかと思っていたし、映画を鑑賞したら自分だったらこうするなと考えていました。面白い出来事に遭遇したら小説に使えるとメモしたものです。

公開していない作品も含めて、書いてきた小説は30作以上、新人賞に応募したのは記録に残っているだけで35回。自慢できることではまったくありませんが、「第12回ポプラ社小説新人賞」で奨励賞を受賞するまでは、最終選考を通過したこともありませんでした。

それだけ落選を続ければ「自分には才能がない」と諦めちゃう人も多いんじゃないですかね。他人から自分の話を聞いたら、「そりゃ、諦めて他のことを目指した方がいいよ」とアドバイスすると思います。

それでも続けてこられたのは、しつこいからだと思います。
文章力を鍛えるために、あるときは毎日Twitterで140字の小説を書く作業を5年間続けました。その間に書いた小説は、約2000作。
そのあとは文章力を鍛えるためにブログを毎日書きました。その記事の数は約2000。今書いているnoteは、第二作を刊行するまで毎日続けると願掛けのために投稿し続けていて、300日以上連続で書いています。

日本でもっとも有名な小説家のひとりである村上春樹さんの真似をしてランニングを20年前にはじめて、それから毎月100キロ近く走り続けています。村上さんがランニング中は絶対に歩かないと言っていたので、フルマラソンを走っているときも一歩も歩きませんでした。
これは才能でもなんでもなく、ただ単にしつこい性格だからできたことだと思います。

しつこく新人賞を投稿し続けていたときに気にしていたのは年齢でした。当たり前ですが、落選を続けているうちに歳をとっていきます。多くの新人賞は、一年に一回の選考です。締め切りに合わせて応募して、数ヶ月後に選考結果を見て自分のペンネームがないことに落胆して、めげずにまた投稿する。そうしているうちに、どんどん年齢を重ねていってしまいます。
年齢制限を表記している小説新人賞は見かけませんが、編集部の内々に年齢による足切りがあるのではと疑ったことはあります。実際に、若いときは選考を通過していたのに、歳をとってからは一次選考も通過しなくなった新人賞もありました(もちろん、実力不足だからだと思いますが)。

年齢制限があっても仕方がないと思っていました。出版社は若い作家をデビューさせて、長い間小説を書いてもらった方がビジネス的に得です。人間には寿命というものがありますし、若い方が伸び代があると思うのは当然のことです。

それでも続けてこられたのは、やはりしつこいからだと思います。
結果的に、「第12回ポプラ社小説新人賞」奨励賞を受賞して、「夏のピルグリム」を刊行できました。
Amazon Kindleにアップした「ふたりの余命」が編集者の目に留まり「ふたりの余命 余命一年の君と余命二年の僕」として出版できました。
これらは50歳を過ぎて起こったことです。小説家を夢見てから約40年が過ぎました。
いくつになっても、何年かかっても、こうしたことが起きる可能性はあるわけです。
このタイトルにある「小説家デビューは何歳で諦めないといけないのか」ということですが、自分の例だけでいえば、しつこく続けていれば、何歳になっても諦める必要はない、と断言できます。

著者初の単行本形式の小説「夏のピルグリム」がポプラ社より発売中です。「ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作です。よろしかったら書店で手に取ってみてください。善い物語です!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?