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ひとりの読者を思って書いた小説が受賞した

今までは誰かのために小説を書いたことがありませんでした。ターゲットを定めて書くよりは、自分が面白いと思える話を書くことに注力していました。

三年前、次はどんな小説を書こうか考えていた頃、娘が中学に入学しました。新しい環境で、いろいろ悩んでいる様子。
なにか彼女のためにできないかと思い、中学生を主人公にした小説を書こうと決めました。
夢をもてない苦しさ、推しアイドル、友人、家族、勉強と中学生が悩む要素を、以前から一度書きたかったロードノベルに詰め込みました。旅を通じて、成長する姿を丹念に描いたつもりです。
その結果できあがったのが7月18日刊行の「夏のピルグリム」です。書き上げたとき、善い作品ができたと確信しました。
せっかくだからどこかの新人賞に応募しようと調べていたら、児童文学を出版しているポプラ社の小説新人賞が目に留まりました。歴代の受賞作には優しい物語が多く、ポプラ社の社風に「夏のピルグリム」が合うと思い応募しました。
応募から半年後、奨励賞受賞の連絡が届きました。連絡をいただいたときは、本当に驚きました。

今まで何十作も応募してきて最終選考に残ったこともなかったのに、どうして本作は受賞したのか。
長く書き続けたことで、多少は筆力が上がったことはあると思います。「ふたりの余命」がAmazon Kindleで人気になり、その後に書いた「四度目のF」「タイムスリップ・ロックンロール」もある程度の水準まで達した実感がありました。小説というものが少しだけわかってきたのかもしれません。

もうひとつ大きかったのが、誰かのために書いたことだと思っています。読んでもらう人を想定して書いたことで、物語のテーマが明瞭になり、ストーリーが整理された気がします。

受賞した「夏のピルグリム」は、7月18日配本開始です。13歳の人、13歳だった人、13歳と暮らしている人、夢をもつ人、もたない人、多くの人にハマる小説だと思っています。

完成した「夏のピルグリム」を今ではJKになった娘に渡しました。
僕「どうだった?」
娘「読んでない」

えっ?

著者初の単行本形式の小説「夏のピルグリム」がポプラ社より発売中です。「ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作です。よろしかったら書店で手に取ってみてください。善い物語です!

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