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「夏のピルグリム」

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「第12回ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作の「夏のピルグリム」が7月18日に刊行されます。著者初の単行本形式の小説です。 心の喪失を抱えた13歳の少女が日本各地を旅して、さまざま…
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「都合がいい小説」はいかに生まれたのか

「夏のピルグリム」発売から4ヶ月の間に、多くの感想をいただきました。様々なサイトやSNSの感想をできる限り読んで、次回作の参考にしています。 いただいた感想の中に、「都合が良い」「現実にはこんなに良い人ばかりに会えない」という意見がいくつかありました。 「夏のピルグリム」は、中学生の夏子が神奈川から宮崎まで旅する物語です。お金がない夏子たちは、旅先で出会った人に助けられて、旅を続けます。出会う人たちがいい人すぎて、非現実だというのです。 読者が非現実的だと感じてしまうは作家

「夏のピルグリム」が小学生向け試験問題に採用される

久々の投稿です。1年間毎日書いていたのですが、一度途絶えてしまうとなんだか緊張しますね。 この間、次回作の準備を進めていました。 今日は試験問題の話題です。フォロワーさんから教えていただいたのですが、小学校の模試(と言っていいのかな?)に「夏のピルグリム」が取り上げられたようです。 掲載されたのは、四谷大塚さんの「合不合判定テスト」の国語です。中学入試を目指す小学六年生が1万人以上受験したそうです。 小学校生向けの試験問題と聞いてちょっと驚きました。「夏のピルグリム」は中

地元の新聞に紹介されました。小説家が地方に住むということ

本日の「宮崎日日新聞」朝刊文化面に「夏のピルグリム」の紹介記事が掲載れました。 カラー面なので書影が映えていますね。ありがたいことです。 他県の方はご存知ないかもしれませんが、宮崎日日新聞は、宮崎県内でトップシェアを占めている地方紙です。多くの世帯が購読していますし、喫茶店などには大体置いてあります。 今回掲載されたのは、「みやざき関連ブック」というコーナーで、宮崎県内に関係する書籍が紹介されています。僕が宮崎県在住で、「夏のピルグリム」も宮崎県が舞台のひとつだから取り上

自著の発売から1ヶ月が経って小説家が思うこと

「ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作「夏のピルグリム」の発売から1ヶ月が経ちました。 おかげさまで、多くの方にお読みいただいたようで、多くの感想をいただきました。 いくつかのメディアで紹介していただきました。 まずは、ラジオ。 Yahoo!ニュース。 ダ・ヴィンチWeb。 ライブ配信もやりましたね。 書店に「夏のピルグリム」を何度か見に行きました。 サイズが大きい単行本は書店で目立ちますね。表紙も美しく、蛍光色の緑が光っていました。平積みや面陳列してくれているお店も多

「大人こそ読むべき小説」ダ・ヴィンチWebより

ダ・ヴィンチWebに拙作「夏のピルグリム」の記事が掲載されました。 とても丁寧に読み込んでいただいた素晴らしいレビューです。 こういうレビューを読むと、この作品を書いてよかったと思えます。少女の成長という、何度も取り上げられてきた物語をあえて書いたのは、どこかにいそうな少女の姿をリアルに描くことで、読んでいる人が一緒に成長を見守る気持ちになれると思ったからです。 元々、リアルの娘のために書いたことが影響しているのでしょう。 記事からもう1箇所引用します。 13歳だった娘

「夏のピルグリム」の好きなセリフ・言葉

「夏のピルグリム」発売から三週間が経過しました。幸い多くの方に読んでいただき、感想を書いてくれている方が増えています。ありがたいです。 周りの人の声や感想を読んで、好きだと言われたセリフや言葉をピックアップしてみたいと思います。 ネタバレはないつもりですが、少しでも内容を知りたくない人はスキップしてくださいませ。 6ページ「わたしには夢を持つ資格がない」主人公夏子が『夢を持たない』とプリントに書き込んだのちの独白です。ラストまでこの物語を貫く文章で、どうやったらこの文が読

雑誌「ダ・ヴィンチ」の思い出

ご存知の人が多いと思いますが、雑誌「ダ・ヴィンチ」は、KADOKAWA社が発行する書籍情報の月刊誌です。書籍に関する雑誌は他にもありますが、「ダ・ヴィンチ」はもっとも発行部数が多いんじゃないですかね(違ったらすいません)。 小説家を夢見ていた若い頃、「ダ・ヴィンチ」を食い入るように読んでいました。当時の誌面は今よりも小説に特化していた印象があります。インターネットがまだ普及していなかったので、どういう小説が売れているか、新刊の情報が掲載されている「ダ・ヴィンチ」はとても貴重

小説の冒頭は渋滞する

「できるだけ早く展開しろ」 小説の指南書に大体書かれている助言です。物語の展開を早めて、最初に読者をひきつけることが大事と説いています。 新人賞に応募する場合でも、サイトに投稿する場合でも、早めの展開は必須だと思います。世の中にはたくさんの物語があり、数多くの娯楽があります。冒頭がつまらなかったら、読者はすぐに別の娯楽へ移ってしまいます。 物語の展開を早めることは、簡単なようで意外と難しいです。物語の冒頭にはやるべきことがたくさんあります。登場人物の紹介、主役の特定、舞台設

すべての感想が力になる

多種多様な感想「夏のピルグリム」発売から2週間が経過しました。 順調に多くの方に本を手にとっていただけているようで、本当にありがとうございます。 読んだ方から、いくつか感想をいただきました。嬉しい限りです。作者にとって、小説の感想を読むことより嬉しいことはありません。 (当たり前ですが)いただいた感想は多種多様です。 書いているときから「夏のピルグリム」は多義性を含んだ物語になったと感じていて、人によって感想が異なる予感はしていました。 いくつかの感想をみてみたいですが、

推しの力、物語の力

オリンピックを観ていますか? 僕はミーハーなのでオリンピックやワールドカップのような大きなイベントは、かなり観ます。 サッカー好きなのでオリンピックでも日本代表の試合はすべて観ますし、(申し訳ないですが)普段は観ない柔道やスケートボードの種目も楽しく観ています。 何年もの厳しいトレーニングをこなし、技術を磨いてきた選手同士が競う姿は感動的です。正しいスポーツ観戦の見方かわかりませんが、選手の背景にある人間模様や家族の助けが透けて見えると、そこの物語性を見出し感動しちゃいます。

我が家には新聞とカレンダーしか文字がなかった

子供の頃、僕は新聞をよく読みました。僕が生まれるまで我が家には本が一冊もなく、新聞とカレンダーしか文字が書かれたものがありませんでした(学校に入ると、本を買ってもらえるようになりましたが)。 だからか、僕は文字に飢えていて、新聞を隅から隅まで食い入るように読んでいました。特に中学のときに小説を書こうと思っていたからは、できるだけ広い知識を取り込もうと、新聞のすべての記事を理解しようとしました。 毎日読んでいると、最初はよくわからなかった国際面や経済面の記事もなんとなく意味がわ

Yahoo!ニュースにて自著の小説が紹介されました

タイトルの通り、Yahoo!ニュースに、「夏のピルグリム」についての記事が掲載されました。 宮崎県の経済新聞「ひなた宮崎経済新聞」に取材いただいた記事です。小説家になった経緯、「夏のピルグリム」について話しています。 ぜひご覧になってくださいませ。 著者初の単行本形式の小説「夏のピルグリム」がポプラ社より発売中です。「ポプラ社小説新人賞」奨励賞受賞作です。よろしかったら書店で手に取ってみてください。善い物語です!

新作発売から1週間過ぎて小説家が思うこと

初めての単行本形式の小説「夏のピルグリム」を刊行して、1週間が経ちました。自著が書店の店頭に並んでいる光景を見るのは2度目になりますが、やっぱりいいもんですねえ。中学の頃からの夢でしたからね。単行本だからサイズが大きいので、店内でも目立っていました。 多くの書店で平積み、しかも一番前方にディスプレイしてくれていて、嬉しい限り。蛍光色を含んだ黄色と緑の表紙が輝いて見えました。 みなさま、手にとっていただけたでしょうか? ぜひ表紙だけでも店頭でご覧になってくださいまし。 発売後

トークイベントで出たエモい話。見逃し視聴できます

昨夜のオンライントークイベントに参加いただき、ありがとうございます。本好きな人、小説家を目指す人、Kindleで出版している人に有益な情報をお伝えしたつもりですが、いかがでしたでしょうか。 見逃した方は、こちらから視聴することができます。 ポプラ社森さんの流暢なMCで配信はスタートしました。 まずは、僕が小説家を目指す経緯について話をさせていただきました。 中学の頃、歴史小説が好きになり、自分でも書きたくなったこと、書いた小説を隣の女の子が面白いと読んでくれて、簡易な本を作