[詩]一人舟
誰にも言わずに旅に出たのは
別に誰かを憎んでいたからじゃなくて
水面に映る光を見ずに
消えてしまうのが怖かったから
夕暮れ色に染まる思い出たち
湧き上がる後悔や
自分の残像すらも
今と言う時流に流されていく
何故、僕はこんな人間になったの?
矛盾を抱えながら
時間を空費していく
でも、時には向こう岸で待つ誰かのために
歩かなきゃ、歩かなきゃ
迫る波すらも、時には味方にして
月と僕だけの夜を過ごしていく
煙草に火をつけるように
誰かを愛して勝手に傷つき
愛の意味すらも分からなくなった
結局、もうやめようって思っても
また火をつけてしまう
この世界が、僕一人だったら
傷つくこともなく
寂しさも感じないのだろう
でも、その辛さも
僕は十二分に知っている
僕は何を失って何を手にしたの?
今、出来ることを重ねながら
毎日過ごしている
一日の境目もよく分からなくなったまま
生きている、生きている
周囲に景色も無くたって
人は残念ながら、生きることが出来てしまう
だけど、そんな日々は
いつかの自分への架け橋になる
どんな生き物も長く辛い冬を
超えて希望を繋いでいく
現代という波に、さらされても
いつも僕を支えてくれている人が
どこかにいてくれるから
きっと大丈夫、きっと大丈夫
この世界をもう少し、信じていよう