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最強のラテン音楽を求めて|現象としてのプロジェクト・ウノ編|Liner-note
(煽り)知ってる? プロジェクト・ウノってすごいんだって! 彼らのサウンドはエネルギッシュで、心を踊らせるリズムに満ちてるよ。
極東の島国に暮らす人々はラテン音楽というと何を連想するであろう。マンボかサルサかチャチャチャ? それともサンバとかタンゴだろうか。
それはそれで大正解なのだが、もうひとつお勧めなのがメレンゲなるもの。カリブの島国・ドミニカ共和国で生を受けたメレンゲは腰骨をくだくほどの激しいダンスビートでラテン世界をかけめぐり、そしてニューヨークに流れ着いた。かくしてドミニカ出身者の多いブロンクスやブルックリンあたりの街角にこの攻撃的なリズムが充満する。
プロジェクト・ウノはそんなニューヨークの混血状況が生んだメレンゲ界のスーパースターだ。1993年「エル・ティブロン」で大・大・大ブレーク。人々がこの曲で遭遇したのは、メレンゲとハウス、ヒップホップの魔術的合体ーーそれは過激さが倍増したメレンゲの進化形だった。
怒濤の反復リフと覚えやすいサビのフレーズは米国のカリブ・コミュニティにとどまらず中南米に逆輸入され、あちこちにティブロン(鮫)とあだ名されるナンパ師を輩出した。
ネルソン、ファン、ジョニー、エリックの4人が歌うイーストサイドの日常は、サブカルチャーの越境者たちに共有され、世界中のクラブシーンに飛び火している。あまたのメレンハウスのニューカマーたちが繰り出す超絶技巧も、すべてのルーツはここにある。
11月20日、沖縄リージョンクラブ、伝説のプロジェクト・ウノが沖縄に来る。体感温度60℃のダンスミュージックを携えて!
これはいつだったかプロジェクト・ウノが沖縄公演したときにラテン・バーのマスターに頼まれて書いたフライヤーの文面。
Proyecto Unoはドミニカ系アメリカ人のボーカルグループ。メレンゲとテクノ、ヒップホップ/ラップ、ハウス、ダンスホールを融合させた音楽スタイルで、1989年にマンハッタンで始動し、翌年にアルバム『Todo el Mundo!』でデビューした。2枚目のシングル「Brinca」で、彼らは米国とラ米の両方で地位を確立する。
「El Tiburón」もいいけど、アルバム『New Era』からのシングルカット「Latinos」を聞いてもらおう。
プロジェクト・ウノが革命的だったのは、メレンゲに他の音楽ジャンルをサンプリングして新たなサウンドを生み出すクリエイティブさだった。それは後続のアーティストたちに、独自の音楽的アイデンティティをつかみとる機会を提供した。
彼らのフォロワーたちを紹介する。
まずサンディ&パポ/Sandy & Papoだ。
プロジェクト・ウノのオーディションにも参加したくらいの直系。ドミニカ共和国出身の音楽ユニットで、1990年代のシーンで国際的な成功を収めた。
メレンゲやヒップホップ、ハウスなどの要素を巧みに融合させたダンスフロア向けの楽曲が得意で、「Mueve Mueve」(Reel 2 Realの「I Like to Move It」が元ネタ)が代表曲の筆頭。
でもここでは「La Hora de Bailar」をセレクトしちゃおう。
次は大好きなイレガレス/Ilegales。真ん中のウラジミールが生え際をきっちり刈り揃えてて、それが意外に好青年っぽくっていいね。
これまたドミニカ共和国出身で、1993年に設立、1995年にアルバムリリース。メレンハウスと言えど、どちらかというとメレンゲ寄りのダンスナンバーをスマッシュヒットさせており、「El Taqui Taqui」「Fiesta Caliente」「Baila」「Como Un Trueno」なんかの初期の作品がお気に入り。
貼るのは「La Ladrona」というポップス系の曲。似た曲ばかりじゃ読者のみなさんも飽きるだろうし。懐が深いのが長生きの秘訣だね。
最後はフラニート/Fulanitoというドミニカ系ニューヨーク育ちのグループ。
彼らの特徴は、さらにバチャータを組み合わせているところで、全般的にアコーディオンが激しめ(前も書いたように古いバチャータのペリコ・リピアオ/Perico Ripiaoだね)。
最初のアルバム『El Hombre Mas Famoso De La Tierra』では、ヒット曲の「Guallando」「El Cepillo」「Merecumbiaso」を生んだ。2007年のラスト・アルバム『Vacanería!』では、「Ajena」でプロジェクト・ウノのボーカルだったマジック・ファンをフィーチャーしている。
YouTubeはサード・アルバム『Americanizado』から「Pecho A Pechuga」をピックアップ。
イレガレスやフラニートもレゲトン風トラックをてがけているが、僕はこのレゲトンってやつが嫌いでね〜。プロジェクト・ウノからレゲトンに行きつく流れは、いやもう「そりゃそうだ」なんだけど、そこまではコミットできないんだな〜。好みじゃないんです!