![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/173087746/rectangle_large_type_2_ba26d78c44e44be5b124626843bb7269.jpeg?width=1200)
最強のラテン音楽を求めて|巷のクセつよミュージシャン編|Liner-note
「クセが強い」とは、一般的な基準から逸脱し、独特で際立った特徴を持つことを指すと考えていいよね。文脈によっては「好き嫌いが分かれる」「扱いにくい」といったニュアンスを含むこともある。
そんな、アナタの人生においても何人か邂逅したことがあるタイプの個性を持つミュージシャンを厳選してお届けしよう。曲を聞くたび、「クセが強い!」とノブ小池風に力強く叫んでほしいの。
まずグアコ/Guacoから。
Guacoとは、ベネズエラのマラカイボ出身のラテン・バンドのこと。1960年にマリオ・ビロリア、アルフォンソ・”ポンポ”・アグアド、フェルナンド・ドミンゲスら、スリア大学の学生たちによって結成された。ガイタ/Gaitaという伝統音楽に、サルサ、ファンク、ジャズ、ロックなど様々なジャンルを融合させたパフォーマンスを披露する。
ガイタとは主に3拍子や6/8拍子の、ビート強めの音楽で、ガイタ・スリアーナとガイタ・デ・タンボーラの2つのスタイルがあるらしい。ガイタの演奏には、クアトロ、タンボーラ、フーロ、チャラスカ、マラカスなどが使われ、独特のリズムを生み出す。このへんが並のサルサバンドとは異なるところで、クセつよの震源となっている。
高度な演奏技術を持ち、複雑なリズムやメロディを正確に演奏する。エネルギッシュでインタラクティブなライブで観客を魅了することで知られる。
息が長いため多数のアルバムをリリースしており、その中には名作の誉れ高い1984年『Guaco es Guaco』や2000年『Equilibrio』、2012年『Escultura』などがある。
曲は「Un cigarrito y un Cafe」にする。うん、ガイタ色はあんまし強くないかも。
続いてドミニカだと、チチ・ペラルタ/Chichí Peraltaとどっちにすべきか迷った挙げ句、より古株のシオマラ・フォルトゥーナ/Xiomara Fortunaで。
彼女はワールドミュージック、ジャズ、アフロ・ドミニカンを混交したムシカ・ライス/Música Raízというスタイルを確立した。1959年にドミニカ共和国のモンテ・クリスティ州で生まれ、母親の影響で音楽に興味を持った。1985年から音楽活動を開始し、この国の伝統音楽と現代音楽を独自に解釈した創作を続ける。深い声と社会正義を題材にしたリリックが特徴なのだよ。
ちなみにチチは、メレンゲ、グァグァンコー、バチャータ、バジェナートなど多様な音をごたまぜに操る人。4歳から音楽を始め、Juan Luis Guerraのグループ「440」でパーカッションを叩く。「プロクラ/Procura」が白眉だが、単発だったため本選からは漏れた。でも好きです。
シオマラは1985年『De la Loma al Llano』、1996年『Balbuceos』、2001年『Kumbajei』など多数のアルバムをリリースしている。はっきり言ってもうおばあちゃんだけど、存在感はすさまじい。
曲は「La calle será la calle」にする。こんな人が地元のイオンでレジ打ってたら、三度見するよね。
ぶっちゃけると上の二人は、我が家のBGMの常連さんではなかった。いちおうアルバムは持っているけど、中古で買ったやつだ。あまり聞いてない。ファンの方には悪いんだけど、次のバンドを紹介するために、バーターで登場してもらったにすぎない。
今日の企画でいち押しするのは、アルキミアこと、Alquimia la Sonora del XXI(21)だ。
アルキミアは、プロデューサーであるホルヘとサディのラミレス兄弟によって1996年に結成されたコロンビアのサルサ音楽バンドだ。何が変わってるかって言うと、キューバの老舗バンドLa Sonora Matanceraの曲のカヴァーを一丁目一番地にしているとこで、名作をベースにした魅力的なサウンドを提供する。Spotifyでは月間リスナーが約23万人に達しているとのこと(その数字がすごいかはわからないが…)。
デビューアルバム『Leyenda』で成功を収め、中南米カリブの各国、それにアメリカ合衆国でゴールドディスクやらプラチナディスクやらを獲得した。2014年にはアルバム『Sentimiento Anacobero』がラテン・グラミー賞にノミネート(残念)。これまでにたぶん10枚のアルバムをリリース。
さっきも言ったように、マタンセーラへのトリビュート作品が多しなのだが、曲の途中で変調したり(というのはDJ的に曲をつなげているため)、ボーカルが交代したりとクセが強い。これが曲にダイナミズムをもたらし、聴き手を飽きさせない。ライブじゃ盛り上がるはずだよ。
バンドはそこまで大所帯ではなく、トランペット隊2人の奏でるイントロの音質で、「あ、アルキミアね」とわかる。それに、女性ボーカルのダイアナ・ポサダ/Diana Posadaがいい。少しぽっちゃり気味な見た目がソーキュートなのだよ。
曲は「El negrito del Batey-La mama y la hija」にする。前半はメレンゲの古典で、アルベルト・ベルトラン/Alberto Beltrán原曲をマタンセーラがカヴァーしたことがある。それに、マタンセーラオリジナルの後半曲をつなげた編成だ。
上の曲は偏愛ゆえに紹介するのだが、よりマタンセーラ感を楽しみたい人のために「Besito de coco-Caramelo」も貼っておくよ。ダイアナちょっと痩せてる時期だね😢