最強のラテン音楽を求めて|とにかく速いメレンゲ編|Liner-note
イクラちゃん「ママー、今度の全日本ピアノコンクールの課題曲、メレンゲ速弾きだってよ~」
今回は2ビートのメレンゲをアゲアゲにしたものを特集したい。もともとアップテンポな曲が多いが、さらに高速化したメレンゲは、merengue duroとかmambo系とかhardcore系とか呼ばれている。そこのアナタが左右に腰を激しく振るだけでは、とうてい追いつけないぜ。
メレンゲの歴史について詳しく知りたい人は下のサイトに飛んでみよう。今回初めてこのサイト(https://merengue-panic.org/)を見つけたんだが、これは勉強になりますよ~
まず、ヘンリー・ヒメネス/Henry Jiménez。
バークレー音楽学院で学んだ学歴を持ち、音楽的な造詣が深い。ジャズの名曲「In the Mood」をフューチャーするなど、アルバムごとに前衛とはなにかをまさぐり、楽器表現の限界にチャレンジする。
それでいて、オスカル・デ・レオンの変化球サルサ「Llorarás」をラウリン・ロセンドとダサかっこよくカバーしたりもする。ホームボーイズとしての活動期間は短かったが、忘れがたい印象を残した。
課題曲はヘンリー・ヒメネスが一番イキってた、1997年『It's About Time』から「El Tom-Tom」にする。ダンスフロアの定番で、はげしいビートとエネルギッシュなメロディに加え、謎ときのような歌詞が素敵だった。向こうのテレビ番組では印象的なパフォーマンスで客を煽っていたなあ。
Henry Jimenez Y Los Homeboys ♬ “El Tom-Tom”
次にオロ・ソリド/Oro Sólido。
「エル・プレシデンテ」と敬称されるラウル・アコスタ/Raul Acostaは、サントドミンゴ出身。音楽一家だったみたいで、こどもの頃はジャクソン・ファイブを真似た「ロス・ソブリーノス・デル・レイ」というグループで活躍した。
オロ・ソリドは、彼がリーダーとなり、移住先のニューヨークで1994年に結成されたバンド。同年、デビューアルバム『Oro Sólido』をリリース。その後も毎年のようにアルバムをリリースし続け、「Abusadora」「Ta Cache」「El Baile del Beeper」「Una Nalgadita」などのヒット曲を世に送り出した。主に英語圏のメディアで演奏し、ニューヨーク発のメレンゲバンドとして異彩を放った。
課題曲は紐ビキニって意味の「La Tanga」。1996年作。アコスタの決めゼリフは”hasta las 15 de la mañana”だが、これは「朝まで踊り明かせよ」というメッセージ。多くのパーティやイベントで人気の曲となった。このバンドはバリトンサックスがリズムを刻むのが特徴的。
Oro Solido ♬ “La Tanga”または”La Tanguita Roja”
ラストはマラフェ/Mala Feことハビエル・グティエレス/Javier Gutiérrez。
ドミニカ共和国のプエルトプラタ出身。兄貴が先にペリコ・リピアオのバンドを始めていて、そこにコンゲーロとして入部するなど少年の頃からの音楽好きだった。
16歳のときにサントドミンゴでプロキャリアを始める。La Banda SalvajeやGrupo Bongoなどで活躍し、コンガにとどまらず、ピアノやさまざまなボーカルスタイルを学び、作曲にも手を伸ばす。そして、2000年にマラフェ名義でソロデビュー。
課題曲は2000年の「La Vaca」。そう、いつもはどれか奇をてらうのだが、今回は3曲ともそれぞれの代表曲にしたのさ。曲調はオロ・ソリドととても似ていて、ひょっとしてフォロワーじゃないかって疑うレベル。どちらもユーモラスな歌詞が特徴だしね。
Mala Fe ♬ ”La Vaca”
…どこかで聞いた話、駅のホームに散らかってる物事さ。