2012カンクンの旅#2|秘境ピラミッドに登り、輝くセノーテで泳いだ話|Travelogue
次にバスで向かったのは、低地マヤの代表的な遺跡であるチチェン・イツァ・・・といきたかったのだが、少しばかりルートを逸れること、人気スポットなので外国人入場料が高いこと、単にオレがへそ曲がりなことから、訪れるのはやめた。代わりにばっちりルート上にあるコバ遺跡に白羽の矢が立った。チチェン・イツァのピラミッドにはもう登れなかったが、コバは登れるというのが大きな決め手となった。
コバの街は小さかった。コバ湖とマカンソック湖というでっかいセノーテのすぐそばにあった。着いたその日は特に何もせず、翌日の遺跡探訪に備えた。ただ、自転車で行けるセノーテの場所は確認しておいた。
あ、セノーテというのは、石灰岩の陥没した穴の部分に雨水や地下水が貯まった天然の泉のこと。遺跡に住んでいた人々にとっては貴重な飲み水であり、だから神聖視されてきた。とても透明度が高くて、ホールから差し込む太陽光を反射してキラキラとまぶしく光る。このセノーテのなかには遊泳可能なものもあるそうで、せっかくだから一度泳いでおこうと思ったのだ。
明くる日、いざコバ遺跡へ。エントランス付近には自転車も置いてあり、いかに広い敷地かがわかる。どういう順序で回ったか覚えていないが、メインエベントはノホックムル Nohoch Mulという高さ42㍍のピラミッド。ユカタン半島北部の遺跡のなかでは最も高いらしい。階段はかなりの急勾配で、下から見ても上から見てもこわかった。上のほうまで来ると、さすがに備え付けのロープにつかまって気を静めたりもした。頂上からは広大な樹海や他の建造物やコバの街を見晴らすことができた。天気がよく汗だくだったが、マヤの王族の視野を得て気持ちよかった。
他には、マヤの遺跡ではおなじみの球戯場(サッカーのような蹴鞠のようなゲームが行われていたという)やいくつかの石碑、何がモチーフなのかわからない石板のレリーフなどの写真が残っている(が記憶はない)。
宿に戻って自転車を借りる。レイトチェックアウトができるので、いまからセノーテに馳せ参じようぞ! とはいえバスの時間があるので、本気モードでペダルを漕ぐ。ロードバイクタイプなので結構スピードがでるのだ。
着いたセノーテには立派な駐車場と窓口があり、自転車みててねと守衛さんに声をかけて地下に向かう。水着を着ていたので着替えることもなく、上着を脱いで何人かの先行者がいる泉に入る。意外と小魚がたくさんいるじゃない。地下でも天井からの光が降りてくる場所は青く透きとおっているし、光が届かない場所には、いいか悪いかは別として、派手な色のライティングが施されている。泳ぐことより体験することが大事なひとときだったので、あまり時間をかけずに戻るとしよう。
次の日はトゥルム遺跡があるトゥルム Tulumという街に宿泊し、シアン・カアン生物保護区 Reserva de la Biósfera Sian Ka'an方面までバイクを走らせた。なぜって、そりゃ釣りのためですよ、性懲りもなくね。航空写真でみると、砂州に囲まれた浅海域やマングローブに覆われた小さな岬なんかがあるんですもの。”魚が僕らを待っている♬”って気持ちになるってもんでしょ。
だけどこれが自然豊かでね、なかなかオカッパリができる開けたポイントやマンメイドストラクチャーがないんだな。何箇所か竿を出しては撤収を繰り返し、そこまで南下したら引き返そうと目安にしてた橋のたもとまでやってきた。うん、予想どおりいい場所だね、風は強いけど、なんて思っていたら、水面を横切るでかくて黒い影・・・
おいおい、あんたワニでしょ、クロコダイルでしょ。人を襲ったりするやつだよね。襲われたらオレ確実に死ぬから。周りに誰もいないし。だめだよ、ここにいちゃ。あっちに行きなさい!
なんて言っても行くはずはなく、しかたなく少し場所移動して釣りを開始。パーミットやマルコバンみたいな釣ったことない魚が釣れる(小さいけど)。でも、やっぱり常に周囲を警戒しながらの釣りは疲れるので、ここも短時間で撤収。いつかフラットボートを借りて思う存分釣りしないなあ、っていう場所でしたよ。
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