大学受験を控えたキミたち 「自然史」へようこそ|Essay
自然史とは何か
ずっとずっと昔から、人は自然の不思議を解明しようとして、自然界のものを集めて分類してきました。古代ギリシャではアリストテレスの『動物誌』、古代ローマではプリニュスの『博物誌』などが有名です。
ヨーロッパ人たちは大航海時代以降、世界中で新しい動植物や未知の鉱物を次々に発見し、それらを整理するために博物学が進化しました。お茶や胡椒、薬用植物など価値のある植物を求めて、多くの植物収集家が世界中を旅し、同様に動物や鉱物も収集されました。
スウェーデンの博物学者カール・フォン・リンネは、1735年に『自然の体系 Systema Naturae』を発表し、それまでの動植物の情報を整理しました。これによって生物分類学が整備され、種の特徴や似ている生物との違いが書かれ、近代分類学が始まりました。
フランスの博物学者ジャン・バティスト・ラマルクは、1802年に「生物学」という言葉を作り出し、脊椎動物と無脊椎動物を初めて区別しました。
19世紀後半にチャールズ・ダーウィンの『種の起源 On the Origin of Species』が発表され、その後、博物学は動物学、植物学、鉱物学、地質学などに細分化されていきました。そして「自然史」や「博物学」はこれらを総称する言葉となりました。
自然史(または博物学)は、自然を観察し、分類し、理解するための基本的な研究分野です。ここでの「史」は、地球で起きたさまざまな出来事を観察し、「書きとどめておく」という意味があります。
自然界には調べきれないほどたくさんの情報があり、自然史はその情報を集め、分類していく地道な研究です。これは人間が持つ好奇心から生まれたものであり、科学の基盤とも言えます。
自然史の魅力
自然史には多くの魅力があります。私たちが理由もなく音楽に引かれるように、人間は本能的に周りの自然環境に興味を持っています。これは私たちの生存に必要な条件(食べ物、住まい、水など)が自然からもたらされてきたからです。
地球上の生物の中で、自然の謎を解き明かす衝動を抱いているのはホモ・サピエンスだけです。
最近、理科離れが進んでいますが、実物の標本を使った理科学習は全国で人気があります。実物標本を見ると、子どもたちは興味津々で感嘆し、授業後には標本に触れようと集まってきます。
これは子どもだけでなく、大人向けの公開講座でも同様です。実物標本には本やデータでは得られない情報があり、人々は本能的にその情報を感じ取り、興味を持つのです。
自然史は自然をありのまま観察し、長い営みの結果として現在の自然があることを理解し、さらにそこから法則や原理を見つけ出そうとするものです。これは私たちの「地球史観」をみつけるための壮大なプロジェクトだと言えるでしょう。
しかし、このアプローチを経済原理にあてはめることには、科学者や研究者から異論が出ています。2016年にノーベル医学・生理学賞を受賞した大隈良典氏(東京工業大学名誉教授)は、受賞後の記者会見で基礎科学の重要性についてこのように語りました。
理化学研究所は、1917(大正6)年に創設された、物理学、化学、工学、生物学、医科学など基礎研究から応用研究まで行う国内唯一の自然科学系総合研究所です。設立したときから応用研究が使命でしたが、それでも基礎研究を重視する理念は失いませんでした。
大学受験で自然史を選ぶキミッヒへ
自然史は未知の世界への扉を開く鍵です。好奇心を大切にし、地球の歴史を学ぶことで、新たな発見と洞察が待っています。
自然や実物標本の観察を通じて、地球環境の理解を深めよう!
困難にぶつかっても、その挑戦がキミッヒを成長させます。
自分の夢を信じ、最後まで諦めずに進んでいけば、きっと素晴らしい結果が待っているよ!