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ホワイトな学校へ#3 その2 会議を減らす~職員会議のスリム化という提案
#2の続きです。
整理すると、平成一桁までは、
職員の意見を聞く(職員会議)→意志決定をする(職員会議?)→校長の方針を伝える(職員会議)+職員の相互の連絡(職員会議・職員朝会)
だったから、時間がかかったのです。
これを、以下のようにします。
職員の意見を聞く(連絡会など)→意志決定をする(起案文書の決裁)→校長の方針を伝える(企画会・学年会・連絡会)+職員相互の連絡(学年会・連絡会・学校LAN掲示板)
職員会議は行わなくても済みます。
スリム化に取り組む以前に、年度当初から下地を整えておく必要があります。それは、職員会議を行う場合であっても、会議を長引かせないための方策です。
整えておくべき下地
一、担当者優先の原則
中心になってその行事等を仕切るのは担当者なので、同等の教育的効果なのであれば、原則その担当者がやりやすい方法がよい。
二、大きな変更がある場合は予告(リサーチと根回し)
大きく変えたいとき、(そもそも無理な場合もあるので管理職に確認してから、)担当者はまず、変えたいという意思を示す。連絡会や学校LAN掲示板で先生方に伝えて意見を聞く。これだけでは不安な場合は、変えたい内容の文書を各学年などに回覧して意見を聞いてしまう。これが、意見を聞く場である。
三、企画会に出す文書は管理職の決裁済みに限る
企画会のメンバーは学校によって違うが、概ね各学年主任と必置主任(教務主任、生活指導主任、保健主任)で構成される。スリム化するために、前任校では事務主任を入れ、現在の学校では、用務主事の技能長も入れ、名称も「学校経営支援会議」に改めた。
企画会の目的は、本校の場合、決裁済みの文書を各主任等の目で見直すことにより、落ちや重複等問題点を洗い出し、さらに精度を高めることである。
私は職員会議が長引くことは避けたいと思っていたので、着任した時からこれらを皆さんに説明し、徹底していた。この方法をとれば、職員会議が短時間で終わるようになる。
その上での職員会議を行わない提案である。
職員会議までの流れをまとめると、以下のとおり。
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実行するにあたり、教頭、主幹教諭とブレインストーミングを行った。
職員会議を行わないことにより起こるであろう問題点は何か。その解決策は?
それが、下半分に示した内容である。
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職員会議のスリム化という提案の中で最も徹底すべきは、企画会後の「伝達」である。これが徹底できなければ、スリム化は成り立たなくなる。そのためには、伝達で「学年会の時間が長くなる。」ことは避けねばならない。
解決策は、企画会の内容を精選し、大幅に減らすこと。
企画会にかける内容を、変更があるものや全校で取り組む行事等に限り、資料は前日までに配って予め目を通しておいてもらって、時間は15分以内で終わるよう徹底した。そうすれば、各学年主任が学年の先生方に伝達する場合も、15分程度で済むはずである。また、企画会に出された資料は、すべて学校LANでいつでも誰もが見られるようにする。
企画会で扱わなかった案件は、連絡会で伝えることにした。
最初の学校では、職員会議を行わないことに反対する先生もいたが、「まずは一度やってみましょう。何か不都合があったら見直しましょう。」ということで、始めてみた。
いざ、なくしてみたら、何も不都合なことはなく、困るという先生は誰もいなかった。
というか、大好評だった!
2校めでは、いとも簡単だった。1校めの実績があったので、私も自信をもって進められたし、手順を明確に示すことができた。また、当時の教務担当主幹がとても協力的で、着任してすぐに相談したら、「へー、いいですね。早速やりましょう!」と、すぐにできた。
誰も困らず、行事等はきちんと回り、もちろん大好評。
その後、現在まで職員会議が開かれることはない。
さらに、短縮時程といって、週に1日、中休みを短縮し掃除を行わずに午後の時間を繰り上げ、授業時数を減らすことなく子供たちがいつもより30分ほど早く下校する日を設けた。職員会議や研修会は基本そこに組む。
職員会議の枠はあるので、必要な時には行える、しかし、行わない。
そしてそのまとまった時間を自由に使える、というお得感のある構図が重要。
副次的効果
職員会議のスリム化によって、予想外の成果があった。それは、学年主任が企画会で聞いてきたことを各学年の先生方に伝える際、相手に合わせて+αの情報を伝えているということである。相手にわかりやすく伝えようと、学年主任の意識が高まった。つまり、職員会議では、全体に同じ薄さで全体的な情報が伝わるだけであるが、学年主任からであれば、「あなたの役割はこれ。これは○○先生に聞けばわかる。去年の資料はここにある。」など、その先生にとって必要な情報が濃く伝わるのである。人に説明すると、理解が深まるし、説明される方も自分に合わせて教えてもらっているのだから、わかりやすいはずだ。
そもそも、各島に一人は部員がいるのだから(この仕組みは、次回)、不明なことがあっても、職員室の自席の近辺で聞けば大抵のことはわかる。逆に若手から主任に補足説明することもある。
というわけで、皆、文書をよく読みこんで、一人一人が自分の仕事をよく理解し、よく動けるようになった。
他の学校の校長先生方が心配していた、「回らないのでは」ということは全くなく、かえってよく回るのは、このような副次的効果があったからである。
留意点一つ…文書の精度を高める
このことは、先日、主幹教諭に言われて気づいたのだが、このスリム化状態で行事等を回せるのは、文書の精度が高いからだという。
その文書を見れば、皆が間違わず、疑問点がほとんどなく動けることが要諦である。
そういう文書を先生方が作るのは難しいと思うかもしれないが、まずは、自分が初めてその起案文書を目にしたとき、自分がそれぞれの担当になったつもりで動けるかどうかを考えながら読むこと。わからなければ、担当に確認し、書き足してもらう。
この時、けっして妥協しないこと。担当からの起案が遅く、企画会に間に合いそうもないと、つい、まあいいかと思ってしまうが、そうやって妥協すると大抵失敗する。
時間がなければ、企画会にかけるのはあきらめ、連絡会で提案してもらえばいい。こうすると、担当は大抵の場合、次は間に合うようにしようと期日を守るようになり、一石二鳥である。また、ぎりぎりにならないよう、教務主任などに、しっかりと進行管理をしてもらう。
それでも、完璧な文書というわけにはいかないと思うので、うまくいかなかったところはその都度改善していけば、だんだん文書の精度は上がっていきます。
余談
私は、新たな情報を伝える際や課題について相談する際など、できるだけ順番を飛ばさないようにしています。順番とは、「教頭⇒主幹教諭⇒各主任⇒全職員」単純なことですが、飛ばして話をしないことで、各職層の意識が向上します。
ずいぶん長くなってしましましたが、最後まで読んでいただき、ありがとうございます=^_^=。
次回は、「その3 会議を減らす~各種会議を減らす①…ための、公平感のある校務分掌」です。
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