出稽古で力だめし@世田谷区立総合運動場温水プール
明日は会社の休日。もともとあった予定がキャンセルになったので、計画を立て直すことに。新宿末広亭に行って寄席デビューをしようかな。それとも上野にマティス展を見に行こうかな。ホテルにモーニングを食べに行くというのもあるけれど、どれもイマイチときめかない。何をしようか思案しながら眠りにつくと、目覚めたときにひらめいた。そうだ、泳げるようになったから、あそこに行ってみよう。世田谷区立総合運動場温水プール。食洗機とルンバに家事を任せ、さっそくバスに飛び乗った。
キレイ。広い。明るい。目を見張るほど立派な施設だ。近所のジムとは雲泥の差、などと比べてはいけない。なぜならここは、2020年東京オリンピックのとき、アメリカチームのキャンプ地になっていたのだ。さもありなん……。
「はじめて来たんですけど、どうやって利用するんですか?」。「25m泳げる程度なんですけど、どのレーンで泳いだらいいですか?」。券売機の前やプールサイドでスタッフに尋ねる。「あっちとこっち、水温が違うんですけど、それぞれ何度なんですか?」。「さっき屋根が開放されてたんですけど、定期的に開けてはるんですか?」。などなど、泳ぎつつ情報収集にも余念がない。
ここには50mプールと25mプールがあり、水深と水温が違う。それぞれ、160cm、29℃、90cm、32℃。だから50mで泳いでから25mに入ると、温泉のように感じる。わずか数℃で大違いなのだ。他にも、水深30cmの幼児用プールやジャグジーまである。
11時すぎに行くと、25mプールの開閉式の屋根が開いていた。暑さ指数が29以上になると、換気のために10分ほど開放するそうだ。気温29℃。プールサイドで、おじいちゃんがビート板を枕にして日光浴をしている。いかにも気持ちよさそうだ。25mプールには、子どもだけでなく、身体に障害のある方や、車椅子のお年寄りもいた。もちろん親や介助の方が一緒だ。50mプールは深いと聞いていたが、大人なら立てる。でもいつものプールより深いし冷たい。顎の高さまで水面がくるので、慣れるまで「怖っ」と感じる。
泳ぎはじめて30分しか経っていないが、上がることにした。まだまだ力ずくで泳いでいるため、息が上がりすぐ疲れる。同じレーンで優雅に泳いでいたおじいさんスイマーから声をかけられた。「もう上がるの?」。「はじめて来たので」と答えると、「今日は空いてていい」と返してくれた。スタッフによると、土日はとても混んでいるそうだ。今日来られたのは本当にラッキーだった。
水泳教室に通い始めて2ヶ月。自主練が功を奏し、ビート板なしで25m泳げるようになった。そして今日の出稽古で少しだけ自信がついた。明日から練習のレーンを変えてみよう。この2カ月、「歩く人、立つ人」用の右端のレーンで練習してきた。人にぶつかり、怒鳴られたりもした。だけど、泳げるようになったから、真ん中のレーンにデビューする。「ゆっくり泳ぐ人」の仲間入り。ゆったり漂うように泳ぎたい。
それにしても、このプールは実に良いプールだった。施設や設備の充実度もさることながら、格安なのも魅力だ。料金設定は、なんと1時間260円、超過料金30分130円。大人から子どもまで、泳げる人もそうでない人も快適に利用できる。平日の夜ならもっと空いているらしい。
泳いだ後は、2階のレストランへ移動することにした。吹き抜けになっているロビーを通った時、清川泰司氏の抽象画が展示されているのに気づく。二日前に成城にある氏の記念ギャラリーへ行ってきたばかりなので、すぐにそれと気づけた。大作である。ほかにも、アメリカのケイティ・レデッキー選手のサインボードも展示されていた。「Keep working hard! Set big goals and have fun!」と寄せられている。
午後1時近くになっていた。さほど混んではおらず、テニスコートを見下ろせる席に腰をおろした。食後はコーヒーを飲みながら宿題をしようと、3点セットを取り出す。スマホ、スマホスタンド、無線キーボード。パチパチ打ち始めると、お店のおばちゃんが寄ってきた。「これいいね、タブレットいらないね」と話しかけられる。そして「画面が見にくいんじゃない、ブラインドを下げようか」と世話を焼いてくれた。空いているのを良いことに長居させてもらった。ひとしきり書けたので、Googleドキュメントを閉じる。続きは自宅のPCで。
初めてのプールで、実力を試せ、おまけに宿題もできた。思いつきの割には、なかなかナイスな休日になり、大満足な一日であった。
【施設情報】総合運動場温水プール | 施設案内