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掌編怪談

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自作の掌編怪談のまとめ
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2023年5月の記事一覧

掌編怪談「喉ちんこ」

喉ちんこに何かが張り付いている感覚がある

そのせいで咳が出る

うがいしても、何かを飲み込んでも異物感が消えない

腫れてるのかと思い、鏡で確認する

口を開け、ライトで口内を照らすが腫れている様子はない

じゃあ異物があるのかと考えていると何か見えた

見えたと言うより出てきたと言った方が良いかもしれない

喉の奥から猫の手の様なものが出てきて、じゃれているかのように喉ちんこをちょんちょん触る

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掌編怪談「傷」

どこで怪我したのか

弟の右の太ももに小さな傷がうっすらと出来ていた

少し血は滲んでいるがほっとけば治るだろうと思い、処置はしなかった

翌日確認すると一つだった傷が五つに増えていた

不思議なことに傷は等間隔に並んでおり、何となく弧を描いているように見える

日を追うごとに傷は深く大きくなり

その数も増えていった

右の太ももに止まらず、今では全身に同じ傷がある

原因は分からず、治療の効果

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掌編怪談「ちぎり絵」

ちぎっては貼り

ちぎっては貼り

そうやって作られたちぎり絵

閉じた目が描かれたそのちぎり絵は、ある古民家の障子に描かれている

この目は左右対称に描かれている

そのため左右どちらの目なのか分からない

唯一分かっているのは、一人の人間の瞼のみで描かれていると言うこと

目は障子いっぱいに描かれている

その瞼の持ち主は巨大な眼を持っていたのか、或いは数多の瞳を持っていたのか

古民家から見

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掌編怪談「宴」

夜中に騒音で目が覚めた

音の方に目をやると障子越しに明かりが漏れ、人影が動いているのが分かる

宴会をしているようだ

障子戸を思い切り開け放つ

眠さと眩しさで目が開かないが、数人の人影が卓を囲んでいるのが分かる

うるさくて眠れないから静かにして

そう言うと障子戸を閉めて布団に潜り込んだ

朝になり、日光を浴びようと障子戸を開ける

窓の外には松の木があり、足元の池に影を落としていた

掌編怪談「隕石」

飛行機の音が聞こえ、何となく空を見上げる

だがそこに飛行機の姿はない

代わりに光輝く塊が墜ちてきている

隕石だ

大きくはないがかなり近いの

この距離では逃げても無駄だろう

隕石が地面にぶつかると同時に閃光と爆風が炸裂し、地面が激しく揺れた

身を守ろうと無意識に目を瞑り、腕を上げて顔を庇う

地面が揺れているのも相まって突風で転んでしまった

しばらくして揺れが収まった

恐る恐る薄目

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掌編怪談「メール」

頭どこ

知らないアドレスからこんなメールが届いた

めんどうなので無視をする

探して

同じアドレスからメールが届いた

誰やねん、気味悪いこと言うな
ちゃんと確認せい

返信すると宛先不明でエラーメールが届いた

困惑していると

またメールが届いた

早く見つけて

気味が悪いので携帯を部屋に放置して外に出る

気晴らしに走ろうと思い、バイクに股がる

見つかっちゃった

手に取ったヘルメ

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掌編怪談「背なし」

公園の隅に置かれたコンテナ

そのコンテナに、女の子がつまらなそうに寄りかかっている

一人で来ているのか、遊んでいる様子はない

近づいて声を掛ける

俺一人やねん、遊ぼうや

ええの?

暇やねん、遊ぼうや

でも…今はアカンねん

なんでや?

探し物があんねん

なんや?俺が見つけたるわ

せなか

せなか?

せなか、失くしてしもたんよ

良くみると女の子の後ろ半分がコンテナにめり込んで

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掌編怪談「公衆トイレ」

突然の腹痛に襲われた

出先なのもあり小走りにトイレを探す

見つけた公園に公衆トイレがあった

駆け込むと、三つある個室が全て閉まっていた

絶望を感じつつ入り口から順にノックをする

三つともノックが返ってくる

普段はそんなことしないが緊急事態なので声をかけた

すみません、限界なので急いで貰えませんか

するとカラカラとペーパーを回す音とジャーと水を流す音が聞こえた

助かったと思いベルト

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掌編怪談「探しています」

探しています

そう書かれた紙が電柱に貼られている

何故か写真はない

アホらしいと思い、剥がして破り捨てた

翌日、同じ電柱に同じ貼り紙があったのでまた破り捨てて学校に向かった

下校時、朝にはなかった場所に貼り紙があった

もう飽きたので何もしなかった

日に日に町中にあの貼り紙が増えている気がする

友人はそんなもんだと言うが

一本の電柱に所狭しと貼られているのは明らかに異常だ

帰宅し

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掌編怪談「既視感」

怪談が好きで動画サイトに上がっている朗読を毎日聴いている

いつも通り検索をすると見覚えのないアカウントを見つけた

どうやら自筆の怪談を朗読しているようだ

最近始めたのか、動画の数は多くはない

何となく古い動画から再生する

何故か既視感がある

自筆なのでそんなはずはない

怪談にはパターンがあるので似た話を聴いたことがあるのかもしれない

最新の朗読に追いつき、再生する

何故か話の展開

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掌編怪談「贋作」

贋作制作で生計を立てている

腕が良いのでバレたことはない

だが念のため手広く、同じ物は作らないことを徹底している

そんな俺のところに依頼が舞い込んできた

俺の仕事を知ってる人間は限られる

かなり怪しいので断るつもりだったが、大金を積まれりゃやるしかない

依頼人から渡された写真には全体がボヤけた様なタッチで描かれた女性の絵が写っている

この絵を描くのが仕事のようだ

イーゼル
キャンバ

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掌編怪談「蜜」

通学路に花壇がある

そこに咲くツツジの蜜を吸うのが日課だ

その日は、いつもより花弁が赤みがかっているように見えた

いつも通り花を採り、蜜を吸う

途端に花を投げ捨て、唾を吐いた

甘いはずの花の蜜から鉄臭さ、生臭さを感じたからだ

それからは蜜を吸うことはなくなった

翌日、色水を吸うと植物の色が変わることを学校で教わった

花壇の土に何かあるのかもしれないと思い、掘ってみた

それから生臭

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掌編怪談「双眼鏡」

とある展望台から海を眺めていた

平日ということもあり、自分以外に人はいない

そのせいだろうか

普段は見向きもしない双眼鏡にお金を入れて覗き込んだ

だが壊れているのか、向きが変えられず沿岸部を映すのみ

時間はまだあるが使えないので、別の双眼鏡にお金を入れる

向きを変えようと動かすがこれも壊れていた

先に確かめるべきだった

残念ではあるが折角なので双眼鏡を覗き込む

何故かさっきの双眼

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掌編怪談「報復」

隣人が自室で亡くなり、状況から自殺と判断された

大家が言うには

俺を殺した報いだ

と書かれてた遺書が見つかったらしい

死因は自分で自分の首を絞めたことによる窒息死だそうだ