掌編怪談「隕石」

飛行機の音が聞こえ、何となく空を見上げる

だがそこに飛行機の姿はない

代わりに光輝く塊が墜ちてきている

隕石だ

大きくはないがかなり近いの

この距離では逃げても無駄だろう

隕石が地面にぶつかると同時に閃光と爆風が炸裂し、地面が激しく揺れた

身を守ろうと無意識に目を瞑り、腕を上げて顔を庇う

地面が揺れているのも相まって突風で転んでしまった

しばらくして揺れが収まった

恐る恐る薄目を開けるが、どこにも隕石が落ちた様子はない

いつもの校庭の姿がそこにあった

へたり込んでいる私を心配して友人が声をかけてくれた

隕石は?

と聞くと笑われてしまった

大きい地震があり、強い風も吹いたらしいがそれだけだと言う

白昼夢でもみていたのだろうか

見上げた空には一筋の飛行機雲が走っていた

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