ー参話ー 確信
麗奈さんとの会話は続く。
俺「え…何でこんな少ししか会話してないのに、そこまで分かるんですか?」
麗奈「ん〜。分かりやすく説明すると
他人の話を聞いていると
私にその人の記憶とか周りの人の感情とか一緒に入ってくるイメージかなぁ?」
麗奈「.........」
麗奈「....あと神城さんの家にその人(既婚者の友人)の生霊がいるね。」
生霊とは、生きている人からの強い念
つまり魂の一部が体から抜け出した、自由に動き回れる霊体の事で
相手の事を好きになったり、憎んだりする事で
強い念と思いから生霊が相手に憑きにいくパターンがあるというのを耳にした事がある…
だから今回のパターンでいくと、その友人が俺の事を生霊を飛ばすくらい強い気持ちで好きでいるという事になる…
衝撃だった。
嘘だろ?全然そんな感じで(恋愛的に)接してきている感じがしない...
だが多少は心当たりがあった。
俺「生霊…?まじで言ってます?」
麗奈「まじで言ってるよ。」
麗奈「リモートでお祓いしてあげようか?」
俺「リモートでお祓い…?そんな事できるんですか?」
麗奈「できるよ」
麗奈「通話中にカメラで部屋を映してもらえればね。」
麗奈「でもその前に、その人とは少し距離とった方がいいよ。悪意を感じるから。」
俺「悪意!?どういった悪意ですか?めっちゃ仲良いんですけど、その子」
麗奈「う〜ん、神城さんに他の女の子を寄せ付けないようにするっていうか、独占したい感じ?」
麗奈「普段は自分に恋愛感情がある事を
バレないようにして神城さんに近づいてきている感じだよ。」
麗奈「独占欲強めだから神城さんを自分のそばから動けなくする為に、生霊の方が神城さんの足の怪我とかをさせたり可能性がある。」
俺はこの時、不思議と”怖い”という感情は無かった。
その既婚者の友人とはネットでは付き合いの長い方で
その友人の子供や旦那さんの事も知っていた。
俺の事をこんなにも想ってくれていたんだと思う反面、
俺が原因でこの人達の家庭を壊したくない、
だがこれからも友達として接していきたい。
そんな複雑な感情がぐるぐるとしていた…
俺は決めた。
俺「分かりました。この子(既婚者の友人)とは少し距離を取ってみます。」
俺「お祓い、お願いできますか?」
この既婚者の友人は大切な友人だ。
お祓いが終わった後は、
友人の為にも俺の方からお互いの関係性に距離を置いた方がいい。そう思った。
俺が原因で旦那さんや子供さんにも悲しい思いをさせたくない。
何より、子供さんの事は赤ん坊の時から知っている...
俺は子供の頃に
母親と父親には仲良くして欲しかった記憶を思い出した…
麗奈さんは快く返事をしてくれた。だが、
麗奈「一度はお祓いはするけど、生霊って”生きている人の念”だから、戻ってくる可能性もあるけどその辺はよろしくね。」
生霊は、死霊(死んでいる人の霊)とは違い
”生きている人の念” の為、お祓いをしても
時間が経つか、人間関係などを解決しない限り
すぐに戻ってくる可能性が高いという。
俺はそれも了承した。
俺「分かりました。」
俺「色々とありがとうございます。」
麗奈さんはこの時、無償でお祓いをしてくれた。
俺はしばらく、この既婚者の友人とは距離を取ることに決めた。
ちなみにこの麗奈さんという霊能者は、お祓いが出来るだけではなく
生きている人の過去を見たり、幽霊と会話までする事ができるらしい。
これが俺と麗奈さんとの
出会いのきっかけであった───
───麗奈さんが生霊を祓ってくれてから
数日後の出来事である
俺はこの一件があってから霊能の世界にどっぷりとハマっていた。
俺(世の中にはこんな不思議な事がいっぱいあるのか...)
俺はこの出来事をきっかけに
ネットにあった霊能関係のコミュニティに入ることになった。
そしてここのコミュニティに所属している人達は、プロフィールに”霊感あり”と書かれている人が多かった。
中には、その強い霊感を活かして”除霊を生業として仕事をしている”という人もいるようだ。
そして俺は、ここの霊能コミュニティで
ボイスチャットで会話をしている
コミュニティメンバーの男女二人がいたので、
俺は試しにそこのボイスチャットに参加してみる事にした。
俺「はじめまして〜神城と申します。よろしくお願いします。」
男女二人「はじめまして〜こちらこそ。」
男性「神城さんって霊感あるんですか?」
俺「いや、自分は霊感はないんですよ。」
俺「お二人は霊感あるんですか?」
女性「私達二人は両方ともありますよ〜」
この男女二人は、ここの霊能コミュニティのボイスチャットでよく雑談をしているらしい。
俺「そうなんですね。」
俺「 霊感ある人って、例えば対面ではなく
ボイスチャットしながらでも、相手側に霊がいるとか分かったりするものなんですか?」
女性「分かりますよ。」
俺「そうなんですね!もし良ければでいいんですけど、俺の部屋に霊っていたりますか?w」
俺はちょっと冗談交じりで聞いてみた。すると..
男性「いますねぇ!」
男性「...う〜ん」
男性「最近女性関係で何かありました?」
俺「…え?」
男性「私があなたに何かしましたか!?何で私を祓うんですか!?みたいな感じですげえ怒ってる生霊いますよ」
女性「うんうん、そうそう。」
女性「てか私達(俺と既婚者の女性)、付き合ってたんじゃないんですか!?みたいな感じでブチ切れてるよねw」
この時、数日前に麗奈さんに祓ってもらった
既婚者の友人の生霊がまた俺の家に戻ってきてしまっている事が分かった。
もちろん、この男女二人と麗奈さんの関わりは一切ない。
本当にこうゆう事があるんだ。
俺「…実は、自分の家に友人の生霊がいるって事で、数日前に知り合いの霊能者さんに
”祓ってもらった”んですよね。」
俺「ちなみにその女性の友人と自分は恋愛関係にはなっていません。長い付き合いの友人なんです。」
男性「”祓ってもらった”?」
男性「あ〜。だ〜から怒ってんのか、この人」
男性「この生霊さん、”神城さんには何もしてないのに祓われた!”ってブチ切れてるけど、実際何もされてないの?」
俺「…そうですね。特に今の所、心当たりは無いですね…」
俺「ただ、彼女には”悪意”があるそうなので」
俺「このまま放っておくのは良くないって事で祓ってもらったんですよね。」
男性「なるほどね〜」
男性「ただ何もされてないなら放っとけばいいよ。」
男性「幽霊なんかいちいち気にしてても仕方ないんだしさ〜」
俺「確かに、そうかもしれませんね…」
確かに生霊の件に関しては、
俺自身、生霊からは何も危害を加えられていないというのもあり、
本人である友人との距離をとる以外
これ以上の対処法が分からなかった為、何もせずしばらく様子を見ることにした。
俺の中で”幽霊”という存在が確定した瞬間だった。