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自律神経と入浴
自律神経と入浴の関係についてお伝えします。
「私たち動物としてのヒトは生物学的に恒温動物といわれ外気温の変動にかかわらず体温が一定に保たれている(恒常性維持機構:ホメオスタシス)」私たちの深部体温は自律神経によって37度2前後に保持されています。これは生命活動に欠かせない酵素がもっとも働く温度だからです。
恒常性維持機構を持っている人間ですが「現代人は体温が低い人が多い」と言われています。
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現在は平熱が36度ちょっというデータがありますが50年前は37度近くありました。現代人に冷えが多いのは貧しいながらのんびりと暮らしていた時代と違い、毎日緊張を強いられる社会になり多くの人が偏った生活に陥っているためです。
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低体温は低酸素、高血糖な体内環境を作り出し免疫力を低下してしまう要因になります。そのためこの度体を温めるということで入浴について書いていきたいと考えました。
入浴の効果として①温熱効果、②水圧効果、③浮力効果、④水温と血液の固まり具合があります。
①温熱効果の効果は2つあります。
1つ目の「血行動態の変化」について書いていきます。
35〜36度
不感温度(一般には血圧や心拍数など血行動態の変化しない)
37〜39度
細動脈以下の血管の拡張→血圧低下や心拍数、心拍出量の増大につながり
ます。副交感神経も刺激するため上記の影響が相殺され血圧や心拍数の変
化は軽度になります。
42度以上
交感神経緊張作用が強く起こり入浴中の心拍や血圧上昇が見られます
①温熱効果の2つ目の「体温の変化」について書いていきます。
体温の変化は湯温、そして入浴時間によって変わってきます。
「40℃の場合」
入浴時間5分:体温変化なし
入浴時間10分:体温約1℃上昇
入浴時間15分:体温約1.5℃上昇
→入浴時間5分では温熱効果なし。最低10分間必要です。
「42℃の場合」
入浴時間5分:体温約1℃上昇
入浴時間10分:体温約1.5℃上昇
入浴時間15分:体温約2.5℃上昇
→入浴時間5分でも温熱効果あり。15分入浴すると体温が2.5℃上昇してしまうと体温がもし3℃上昇してしまうと熱中症となり意識消失の可能性が出てきてしまうため危険です。
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体温変化の大きい40℃と42℃を例に出して温熱効果についてお伝えしましたが実際に取り組んで頂く際の温度と時間の目安にして頂ければと考えます。なぜ体温を上げる必要があるかということについて体温が上がると体に変化が生じるためです。
「基礎体温と免疫力の関係」
40.0度:ほとんどの癌細胞が死滅
39.6度:乳癌細胞死滅
38.0度:免疫力が強くなり白血球が病気と戦う
37.5度:菌やウイルスに強い状態
37.0度:体内酵素が活性化
36.5度:健康体、免疫力旺盛
36.0度:震えることによって熱産生を増加
35.5度:自律神経失調症、アレルギー症状出現
35.0度:がん細胞が最も増加する温度
34.0度:人命救出後、命の回復がギリギリの体温
冒頭で「現代人は体温が低い人が多い」という内容について記させて頂きましたが35.5度の体温は自律神経失調症やアレルギーが出現しやすい温度となっています。入浴で体温を上昇させれば平熱が35度台だった人は体温が1度上昇(40℃10分、42℃5分入浴)すればより健康体、免疫力旺盛の状態に近づきますし、体温が1.5℃上昇(40℃15分、42℃10分入浴)すれば体内酵素が活性化する体温となることができます。体温からも自分自身の体を客観視出来るため覚えておいて頂ければと考えます。
「温熱効果を意識して入浴して頂きたい」との思いから今回の文章を書いていますが自律神経の調整が上手くいかない人、入浴習慣がない人がいきなり始めるとのぼせる危険性があります。まずは40℃10分といった低負荷のものから徐々に自分自身が耐えられる温度を上げていき自分自身の日常の体温を高めて頂ければと考えます。舌下や鼓膜内の温度を計測するとより正確ですが額や鼻の頭に汗をかく(深部体温が1度上がった)→出るサインとして頂ければと考えます。
②水圧効果
静水圧は血流を促進し「組織の老廃物の除去」「新陳代謝の促進」「鎮痛効果」があります。
③浮力効果
水中では浮力を受けるため首まで浸かると体重は1/9〜1/10まで軽くなります。体が軽くなった感覚により筋肉が緩み、脳波が「α波」のリラックスした状態になりやすいです。
④水温と血液の固まり具合(血液粘度)
入浴時、水温が高く入浴時間が長いほど血液の固まり具合(血液粘度)は入浴時の発汗による脱水によって起きやすくなります。②水圧による下半身の体液の血管内移行量が発汗による循環血液量の減少を補うことができないためです。
38度:発汗が少ないため血液の固まり具合(血液粘度)は変化しません。
38〜42度:血栓が溶けやすくなるため血栓性疾患の予防や再発に有用です。
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43度:血栓が溶けにくくなることと、血圧上昇も加わって脳血管疾患や心疾患をお持ちの方は危険です。
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以上が自律神経と入浴の関係についてです。今後正しい入浴の仕方について記事も書いていきます。日々の生活で自律神経を整える参考にして頂ければと思います。