推し活、共感の快感をもっと──『「好き」を言語化する技術』読書感想文
ベストセラー『なぜ働いていると本が読めなくなるのか』の著者、三宅香帆さんの著作。文章術の本です。
人に読んでもらう文章を書くためのコツが列記される内容はすごく真っ当で、奇を衒うところは一つもありません。
とにかく「文章術」×「推し活」というテーマ設定が秀逸ですよね。
サブタイトルの「推しの素晴らしさを語りたいのに「やばい!」しかでてこない」。このキラーワードで購入した人、めっちゃいると思います。
そして、第一章のタイトル「推しを語ることは自分の人生を語ること」
──このフレーズ、もはや共感しかないですね。
私も、数年前にBTSという久しぶりになりふり構わず推せるものができたことで(そもそもオタク気質な自覚はめちゃくちゃあるんですけど)、自分の人生の振り返りと、肯定と、自分の本来の意見をようやく言語化できたので。
そしてまた、それに共感してくれるんだよ推し友というやつは。
推し友の言葉に「わかるわかるうううう」ってなるし、私の言葉に「わかるわかるうううう」って言ってくれる。
はあ、心満たされるw
当然、推し活にあたっては私もSNSのオタ垢持ってますが、どうも推し活には理性なんていらない気がしてくる。好きの欲望をダダ漏れにすればするほど、本性出せば出すほど推し活というものの本質に近づく気がする(でも最低限の品性を保つことは大事)。
とにかく「共感」は気持ちがいいです。
好きについては話が止まらないオタクなので、いつもとテンション違うかもしれません。すみません
閑話休題。
この本のテーマである、推しを推す文章についてです。
本書には、最初にも言いましたが、まっとうな文章術が書かれます。
例えば、準備段階では下記のようなことなど。
具体・ディテールが大事
面白さは「共感」か「驚き」 ※歌人の穂村弘さんの言葉を引いて
一般論ではなく自分の言葉で
まずはメモしてそこからエッセンスを集める
発信相手を想像して情報格差を埋める
これ、ちゃんと実践すれば文章が普通にうまくなりますよw
好きなことを文章にするって、たしかに文章上達の一番近道なのではないかと思います。
だって、ネタはたくさんあるでしょ、表現したい感情も自分の中で常に爆発してるでしょ。文章書くにあたって、障壁になるこの2つが軽くクリアできている状態なのだから。
「好き」っていう気持ちを伝えるときは、三宅さんのいう通り、「具体的であること」「自分の言葉であること」そして「人に伝えようという気持ちがあること」の3セットが重要かなと思います。
「ほんとうに好き」っていう感情がダダ漏れていて、その経緯に共感できる文章が嫌いな人はいないですもんね。
ちなみに私が最近読んだ柳宗悦さんの『蒐集物語』も、最高の推し文が目白押しでした。
一例を挙げますと……
引用長いwww けどこれ以上は省略できないwww
一品ごとにこれですよ。やばい(あ、「やばい」って言っちゃった)。
でも最高じゃないですか?
「いいねえ」と、思わず笑みがこぼれてしまう、本気でそれに惚れてる文章。
やっぱりいいです好きがダダ漏れ文章って。
そして、こういう風に一種の格調を持って好きを表現したいものです。憧。
* * *
蛇足的に、私の推しを奉る文章はこちら。
これでも理性を保っているつもりなので、推しという存在はよほどです。
オタ垢はもっと気持ち悪いですお察しください。
でも、推し活っていいよね!!
カバーアート:soejiさんの作品
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