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たまゆらと小説の力

宮崎2日目。
ホテルについている温泉より。

「温泉掟書」

宮崎の温泉「たまゆらの湯」
ノーベル文学賞作家 川端康成
昭和39年11月宮崎市内の 大淀川あたりで
約2週間滞在して、
小説「たまゆら」を執筆。

天然温泉スーパーホテル宮崎温泉 温泉掟書より

川端康成は、今住んでいる大阪のまちで、
幼少期から青年期までを過ごした。

故人が暮らした、旅した町を、
追いかけるように旅することは、
その人をより感じ、
ともに旅するような感覚に陥ることがいい。

しかも、大淀川!
大阪の母なる川、淀川よりも大きいこの川を
きのう散策したところだったから、
よりまた、故人が身近になる。
↓昨日書いた 大淀川や宮崎


昭和40年、NHK朝の連続テレビ小説で
全国に放送された「たまゆら」は、
観光宮崎の礎を築いた。

同上

「小説」たまゆらが、
1都道府県の礎を築くほどの力を
持つことに、感嘆。

「たまゆら」は読んだことがないけれど、
小説はまた、主人公や登場人物とともにまた、
その地、その時をともに暮らし旅する空想を
与えてくれる。

思えば私自身、「竜馬がゆく」を読んで、
人生をも変える機となった。

小説には力がある。

土地、人を豊かに変える力がある。

思えば、「連続テレビ小説」というのも、
「朝の連ドラ」と呼ばれるので忘れるが、
「小説」なんだ。


「たまゆら」は玉響と書き、
古代神話の勾玉(まがたま)が
「互いに触れ合う」ときのほのかでかすかで
響きから、
“しばしの時間”“ほのかな風情”
を表す言葉として使われる。

同上

玉の響き。
一つの玉では響きようがないけれど、
二つの玉が触れ合うときには響き合い、
時間と風を感じさせてくれる。

た ま ゆ ら

という優しい語感にぴったりだから、
名付けた故人もきっと優しい人だったんだろう
と思う。

「たまゆらの湯」は川端康成が滞在した
大淀川の一角に源泉があり、
地下1300メートルの古代四万十層から
湧き出す毎分200リットル、45度のお湯。

同上

深い、多い、熱い。

たまゆらという響きからは遠いようで、
そのギャップにまた響かされる。

神話発祥の地、この宮崎で、
このたまゆらの湯に身を委ね、
たまゆらのひとときを満喫してみては
いかがでしょうか。

同上

はい、そうします。
そうしたくなります。

スーパーホテルに泊まったのは人生2度目、
くらいです。
顧客満足度1位、などとはよく聞いていたけどこんなにお客さん思いで、
思い出と味わいが深いビジネス
ホテルは初めてでした。
(過去50回以上ビジネスホテルに
 泊まりましたが、それと比べても)

宮崎駅から徒歩20分ほどあり遠いので、
この残暑の夕方を歩くには大汗をかいて
到着したんですが、
汗かきチェックインする私に、フロントの方が
タオルを渡してくれました。

翌朝の出発時には、
「きょうも元気にいってらっしゃい」と
声をかけてくれました。

そんな人の接客、というか人と人のかかわりと
いたるところに細やかなサービスが、けっして
過剰ではなく、
たまゆらに響くおもてなしの心でした。

お付き合いくださりありがとうございます

いまから大阪に戻ります。

吉本ばななさんがいうようにやっぱり、
「もう前と同じ自分では帰ってこられない」
のでした。だから旅は、やめられない。


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