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第22回恋の俳句大賞入選&他の句の鑑賞
こえがしてあなたの匂い昼寝覚 憂季
松本二本さん(以下皆様敬称略)選です。前回は長谷川櫂に特選を頂いたので悔しさは残りますが、やはり嬉しい。
⬇前回作品
ケンカしてはなれて同じ街に虹 憂季
せっかくなので、私もわかる句を鑑賞していきます。
湯上りの君に触れれば蜜柑の香 野原めぐみ
季語は蜜柑風呂だろうか。手持ちの歳時記に蜜柑風呂の記載は無いが、柚子湯のように季語として扱って良いと思う。君のどこに触れたのかにエロティックな詩感を感じる。湯上り姿の女性にグッとくる気持ち、わかるなぁ。村松二本と趙栄順 の特選を二つも掻っ攫った俳句。
着ぶくれて君の気持ちが分からない 深谷健
こんなに捻りのない俳句は珍しいと思う。着膨れている、洒落っけに縁のない季語+現代仮名の口語が、素直で不器用な男性像を思わせる。(村松二本 長谷川櫂 選 )
不器用な恋つらなって葱の汁 八田昌代
葱の汁という言葉は、風や花と比べると詩になりにくい言葉だろう。作者の句歴の積み重ねが伝わってくる。つらなるという言葉から、包丁で切りきれなかった葱の風景が浮かぶ。(趙栄順 選)
待つことはゆふぐれ色の毛布に似 蓮井理久
待つこと→ふゆぐれ色→毛布 と、飛び飛びの縁語の連想ゲーム。ちょっと前衛俳句っぽい。言葉と言葉とのイメージを、編み物のように繋げている。現代では珍しい作り方の句。(長谷川櫂 特選)
僕は雨君は太陽夏に入る 安藤亮
可愛らしい対句表現がめっちゃ好きです。上五を僕は月にすると理屈的で台無しですが、雨のチョイスが素晴らしいと思いました。子供でもわかるような言葉選びも好みです。(長谷川櫂 特選)
まとめ
例年よりも同じ名前の人が並ぶ大会でした。俳句熟練者とそうでない人との差が如実に出たと感じています。次回は大賞を狙います。
ぜひ次回はあなたの作品を。