将来の夢は橋(自己紹介)
大人になってから将来の夢を尋ねられることはあまりない。だから万が一尋ねられて、とっさに頭に浮かんだ夢は、ある意味で本音かもしれない。
幼いころの私には、将来の夢など特になかった。絵を描いたり、物語を考えたりするのが好きな子どもだったと思うが、将来の夢なんてはっきりしていなかった。
成長し、学生だった20代前半の私の将来の夢は、海外で活躍する建設コンサルタント。道路や橋、公園、堤防など社会基盤をつくる技術者に憧れていた。結果的に建設コンサルタントにはならなかったが、仕事を選択する上での根本的な思いは変わらないまま、別の分野に就職した。
社会人になった後も、将来像をはっきり描けないまま、自分の興味が向く方向へ時々よそ見しながら自分の人生を歩んできた。そしてある日、30代前半になっていた私は、とある社会人の英語の勉強会にゲスト参加していた。
勉強会の後半は即興スピーチの時間だった。私は会議室の一番後ろの席で、メンバーの方々が与えられたお題で短いスピーチをするのを聴いていた。6人くらいのスピーチが終わったあと、楽しんでいたのも束の間、次のスピーカーに私が指名されてしまった!私へのお題は「あなたの将来の夢」。即興スピーチなので考える時間はほとんどない。会議室の一番後ろから、最前列へ歩いていく間、何を言おうか、英語でどう言おうか考える。でも、聴衆の目の前に立つと、頭が真っ白になる。緊張で手が震える、喉がきゅっと絞られているみたいな声しか出ないような状態で、直立不動の私は言った。
“I want to be a bridge.” (橋になりたい)
この言葉の示すところが伝わらなかったのか、聴衆は全員きょとんとしている。私はそのあと、橋のように人と人をつなぐことが私の夢だと説明した。
その出来事から3年ほど経った今でも、橋になりたいと言ったことが心に残っている。この夢を実現する手段は何か?今の私が出す答えは「アート」だ。このnoteでは、私が日々思ったことと描いたアート作品を投稿する予定だ。私のような素人が描く絵は、気軽に楽しめるものだし、良い悪いの判断は必要ないものだと思うから。
20代前半、実際の橋を作りたかった人間は、今、アートで人と人、自分と内なる自分に橋をかけるお手伝いをする。