鬼階段に挑む(蓮華寺池公園、鬼岩寺)
映画「燃えよドラゴン」の序盤。カマキリ同士を喧嘩させるシーンがある。大きなカマキリと小さなカマキリ。勝ったのは人々の予想を裏切り小さなカマキリだった。
小よく大を制す。
坂道の途中で見つけた小さなカマキリで、ふいに映画を思い出した。
7月24日。蓮華寺池公園から若王子古墳まで上り、そこから鬼岩寺へと下って鬼階段を上った。
階段ダッシュのマイルールは以下の通り。
最初は一段飛ばしで上る
半分を過ぎたら一段ずつ上る
歩いてはいけない
途中で止まってはいけない
貯水タンクに到着。タンクに沿うように進むと、鬼岩寺へと続く階段が現れた。
階段は下りるだけでも時間がかかる。下りる方が膝に負担がかかっている気がするので、ゆっくり一段ずつ下る。上るために下るというのも馬鹿げた話だ。
階段を下りているときの心境は、ジェットコースターがゆっくりと坂を登っていく時に似ている。ただしジェットコースターのようなワクワク感はなく、これから来る苦しい登りへの憂鬱感がじわじわと高まっていく。
階段の前に鬼岩寺を参拝。境内にある黒犬神社は強すぎる犬クロを祀った珍しい神社。クロは御殿様の犬と決闘して勝ってしまったことから恨みを買い、さんざん追い回された末に逃げ場を失い井戸に飛び込んだという可哀想な犬。社殿のなかにはたくさんの犬の人形が供えられている。
本堂の横に置かれた大岩には巨大な爪痕のような傷。かつてこの地に現れた鬼が爪を研いだ岩だそうだ。鬼は弘法大師によって封じ込められたという。
荒ぶるカマキリ、闘犬クロ、鬼VS弘法大師、闘いに関連するあれこれを階段へのモチベーションに変えていく。
助走をつけて走る。一気に駆け上がる。序盤はジャンプするように跳ねる意識を強く。半分くらいを過ぎたら足の回転を上げてすばやく上る意識にシフト。上は向かない。足元だけを見て目の前の一段だけを消化していく。速く。しかし速度は勝手に落ちていく。
上り終える頃には息も絶え絶えだ。苦しいがやり終えた達成感と開放感が心地良い。「もう二度とやらない」と思う。何日かすると何だかんだでまた上りに来てしまう。
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