駐車場にあふれた秋の水

8月31日。朝のうちは日が出る時間もあったが、午後からはすべてを白く包むような横殴りの雨が降った。台風の影響下にある静岡。夕方には雨脚が弱まったので1時間ほど街中を歩いたが、ついにひとりの人にも会わなかった。

手持ちの靴は連日の雨ですべて水浸しになっている。何を履いてもどうせ濡れてしまうので、靴下にサンダル履きで歩く。水路は水量調節できているところもあれば、限界を超えて道路との境界をなくしているところもあった。珍しい様子を見つつ、足の踏み場を間違えないよう用心しつつで、自ずと歩みは遅くなる。

蓮華寺池公園の高台になっている第１駐車場は、臨時避難の車であふれていた。池周りをまわる。ボート乗り場にあるコーヒー屋は開いていた。当たり前だが客はいなかった。

スターバックスのある第２駐車場には車が一台もとまっていない。駐車場に入ると、足首あたりまでが水に沈んだ。目で見えている以上に深い。ここまで歩いてきて最大の水たまりだ。じゃぼじゃぼと音を立てながら歩くのは、すこし楽しかった。うっすら明るくなったので顔を上げると、西の空がぼんやり夕日色に染まっていた。

熊谷の堤きれたる秋の水（岱水）
箱こしらえて鰹節売る（野坡）