言い訳する起業家は失格
「どうすれば売れるのか考えろ」
と私が新入社員の時の上司によく言われました。
私の印刷会社の高松営業所でデビューを果たしましたが、当時の状況は、
・ペーパーレス化が進み始めて、印刷物の需要が減少
・東京への一極集中が始まりだし、地方で伸びた会社は東京へ進出。結果地方の産業が衰退。
・印刷物の需要が減っているので、競争が激化。価格が下がり続ける
と言った、印刷会社の営業マンにとってはとても厳しい環境でした。
売れない営業マンにとっては、言い訳の宝庫です。
仮に毎年10万部の会報誌を印刷していたとしたら、お客様の会員が8万人に減ることで、営業マンは何も悪くないのに売り上げは2割落ちます。
上司「なんで売上2割も落ちてるんだ」
部下「お客様の会員数が減ったからです」
上司「だったらそれをどう埋めるんだ」
部下「でも、周りの他のお客様も軒並み業績が悪化しており、景気が悪いので無理です」
しかし、言い訳は思考を停止させます。
売上減少に営業マンに落ち度が無かったとしても、お客様のせいにしているだけでは、2割の売上減った分は取り戻せません。
この2割をどうやって取り戻せるのか、この環境でさらに売上を伸ばせるのかというのが営業マンの腕の見せ所なのです。
営業マンはまだ言い訳をしていても、上司から怒られながらも給料はもらえます。
しかし、起業家の場合はもろに収入に直結していきます。
はっきり言えば、「でも」「だって」が口癖の人は生き残れません。
選択肢は2つ。
起業家を辞めるか、言い訳を辞めるか。
とはいえ、
「だって、新型コロナウィルス感染症の影響で売上落ちるのは仕方ないじゃないか」
とつい言い訳や愚痴を言ってしまうときもあります。
そんな時は、言い訳をまた言ってしまったと落ち込むことなく、「まあそれは現状分析で、どうすれば売れるのか考よう」と視点を変えてみるといいかなと思います。
徳川家康は小牧長久手の戦いで豊臣秀吉と戦うことになります。
そもそも戦争の原因は、秀吉が織田信雄と争うことになり、信雄が家康に助けを求めたところになります。
信雄は早々に秀吉の調略にひっかかり重臣を処罰したり、家康にとっては想定外のことが起こります。
しかし、局地戦ではありますが池田恒興や森長可を打ち破るなど盛り返していました。
そんな中、家康に相談なしに信雄が秀吉と講和を結び梯子を外されます。
「いやいやあんたのために、こっちは戦争してるのに一言も相談なしに講和ってひどくないですか」
と私なら怒り狂っているかもしれませんが、家康は冷静に対応します。
「この状況をいかに切り抜けることができるのか」
と家康は必死に考えたように思います。
この時の対応がのちに天下を獲った一つの要因となります。
私は、言い訳したくなるようなときは、このことをふと思い出したりする少し変わった人間です。