勝ち組と負け組
「成長できない者に限って、飛躍したがるものである。」
アメリカの社会哲学者のエリック・ホッファーの言葉です。
私は、株式会社ブレイクスルーラボを設立しましたが、その目的の一つとして、「飛躍や突破を研究したい」というものがあります。
今まで多くのお客様との相談対応を通じて、この言葉が本質をついていると最近では確信するようになりました。
例えば、
「すぐに成功する方法が知りたい」
「○○するだけでうまくいく方法が知りたい」
というニーズがあります。
そのニーズに応えるために、いろんな方法を教える人がたくさんいます。
しかし、その方法でうまくいく人は一握りという悲しい現実もあります。
もちろん簡単なことであれば、非常に再現性が高いこともあります。
ただ、「飛躍」ということであれば、ほとんどの人は飛躍することは難しいでしょう。
それはなぜか。
やり方を知ることと実践でできるということは全く違うことだからです。
このことを、実は私は全く気付いていませんでした。
会社員の営業マンのころ、私は営業成績もよく自分のやり方が正しいと思い込んでいました。
今思えば恥ずかしいことです。
同じ部署の後輩に、私の営業のやり方を学べば、私のように売れるようになるからしっかり学べと言っていました。
しかし、いくら教えても全く売れません。
手取り足取り教えても全くできないのです。
お客さんに同行して、実演して、いっぱい見本もみせました。
でも、全くできません。
ある時、私は大きな誤解をしていたことに気づきました。
営業は、教えたらできるものではないということです。
水泳に置き換えると、泳ぎ方を知っても泳ぐことはできません。
そこに泳ぐ練習が必要なのです。
教えたらできると勘違いしていた私は、できない後輩に罵声を浴びせ、後輩は委縮して自分で考えることなく、私の顔色ばかり窺うので、営業として成長することができませんでした。
私はその時のことを今でも反省しています。
その後輩が異動になった時に、心から詫びました。
この時の経験から、やり方を教わる→練習や実践で力を付ける→成果がでる というステップが必要だということが分かりました。
このように「練習や実践で力を付ける」ということはとても大切なことですが、このステップがないために負け組に入ってしまう人がいます。
例えば、やり方を教えてもらう→少し試す→成果が出ない→他の方法を探すという人がいます。
このステップを歩み続けている限り、力を付けるというステップがないので、一向に成長しません。
すぐに結果がでないので、別の方法を探し、また別の方法を探すというループ。
時間だけがドンドン進み、手元資金も日に日に減っていきます。
ということは、勝ち組に入ろうと思えば、練習や実践をいかに続けることができるかが大事になってきます。
イチローが飛躍した一番の原因は、練習をたくさんしてきたからでしょう。
この積み重ねの努力が勝ち組と負け組の差を分けるのです。
エリック・ホッファーの言いたかったことは、「コツコツ努力を続けろ。その先に成果や飛躍が待っている。」のような気がします。
勝ち組に入るには、負け組の人が必死でやり方を探し続けている間に、練習と実践の行動を続けなければなりません。
家族や社員を守るため、そして自分のためにも頑張りどころです。
力を伸ばすことなく、やり方ばかりを追いかけているようでは、勝ち組にはいるのは難しいでしょう。
とは言いながら、勝ち組・負け組というような言葉も死語になる日が来るかもしれません。