ブラック・スワン
2011年頃書いた映画感想文。
『ブラック・スワン』
ダーレン・アロノフスキー監督作品。
この作品はメッチャクチャ期待してました。11日からの公開で、16日に見に行ってきました。いつもどおりのレイトショーだけど、30名ほどの客数。しかもメンズデーなのに女性率高し!まあカップルも多いんだけど・・・
念願だった「白鳥の湖」の主役の座をゲットした主人公バレリーナ。しかし清純な「白鳥」は踊れるけど淫乱な「黒鳥」を踊るには魔性が足りない。監督からの叱咤、母親からの偏愛、元プリマの存在、そしてライバルの登場、様々なプレッシャーが入り交じり、ついには幻覚を見るようになってしまう、ってな感じのいかにもアロノフスキーらしいお話。
「レスラー」もよかったけんど、やはり幻覚がないとね!
演出やカメラワークももちろんアロノフスキーらしい、陰湿な、おどろおどろしい感じです。いつもの手持ちカメラで、歩いてる所を後ろから映したりね。
そしてなんといっても幻覚ですねえ。
気持ち悪い!(褒め言葉)
特に◯が動くところなんか最高に気持ち悪いぜ!
それから心理描写。
徐々に狂っていく感じもたまりません。ナタリー・ポートマンはずーっと泣きそうな顔してたね。そして娘を偏愛する元バレリーナのおかあちゃん。これもアロノフスキーらしい。愛が偏ってんなあ!
本作の一番のポイントは「鏡」でございます。
よくカメラ映さずに撮影したなーと感心するとともに、主人公が鏡越しにしか自分を見てない、というところがとってもよかったです。最終的にはその鏡で・・・だからねえ。
ところで劇中一ヶ所、気になるところがありました。それはクライマックスの黒鳥のシーン。黒い羽根がはえる演出がまるでアニメ・漫画のようでした。町山智浩氏によるとアロノフスキー監督は、故今敏監督のアニメ映画「パーフェクト・ブルー」のリメイク権を買ったんだそうです。んで関係は否定してるそうですが、明らかなパクリシーンがあるそうです。まあ僕は「パーフェクト・ブルー」観たことないんでパクリは気にしませんが、その黒鳥のシーンがアニメっぽいのはそういう影響もあるのかなーなんて思いました。
絞れるまで絞ったしなやかな肢体とオナニーシーンで男性客を魅了し、少女漫画的な内容で女性客を感情移入させ、虜にした主演のナタリー・ポートマン。オスカー受賞は納得でございます。彼女のキャリアの代表作になりました。映画マニアじゃなけりゃあナタリー・ポートマンの出演作品って、「レオン」と「スター・ウォーズ」くらいしか思い浮かばないでしょう。
わいは「ブイフォーヴェンデッタ」と「ブーリン家の姉妹」が好きじゃあ!
それはおいといて、前述のとおり女性客が多かったんですが、上映後に涙をふいている人が数名いたんですね。そうなんだよなあ。感情移入した人は泣いちゃう内容なんだよなあ。おそらく女性は感情移入しやすい内容なんだよなあ。僕は感情移入できないけど、その泣いてた人達を見て、本作はアロノフスキー作品的な「ウツ映画」ではなく、間違いなく「娯楽映画」になってるんだと思いました。
ナタリー・ポートマンはとにかく最高にいいです。
ダーレン・アロノフスキー監督作品としても最高の出来だと思います。
「完璧」な。