『女が死ぬ』松田青子
タイトルと帯のインパクトに惹かれて購入。
1話めの『少年という名前のメカ』を読み始めた時点でもう、
「この作家さん好き……」
と思いました。
文字どおり「少年」という名前のメカが、インプットされたとおりに冒険の旅に出るというお話。
三日三晩、歩き続けてたどり着いた村で、その村の入口近くに建つ家を訪ねて一夜の宿を求めるところから、思いがけない方向へと話は展開していきます。
よくある少年漫画やアニメ作品へのアンチテーゼというか、老夫婦の言葉に、ああ、なるほど、確かに……と納得してしまいました。
この淡々とした語り口、読んでいて思わず含み笑いをしてしまいそうなユーモアと、そこにひそむ、ほんの小さな棘のような皮肉。
(しかし、よくよく見てみると決して小さくはない、というところもミソ)
ほかにも、長さはまちまちの短編(掌編)が全部で53話収録されていますが、ほとんどの作品に上記のような要素が散りばめられていて、こういうのすごい好き、となんだかうれしくなりました。
あくまでもユーモアが軸にあって、チクリと刺す棘は、まるで痒いところに手が届くかのような痛気持ち良さで。
その匙加減が絶妙なのです。
あんまり毒が強いと読んでいてしんどくなることがあるけれど、この作家さんの言葉選びはびっくりするほど適切で、適量で。
「女らしさ」が、全部だるい。
帯に書かれたこの言葉が秀逸です。
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