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ポッパー『40の練習曲』について①

①調性
調性はハ長調が最も多く7曲、次にニ長調が5曲、そしてト長調とイ長調がそれぞれ4曲とチェロの4本の開放弦と同じ調性が多い。特徴的なのがフラットが多くつく変ニ長調(35,39番)、変ト長調(30番)、変ロ短調(3番)の曲が収録されていることです。

②拍子
拍子は4/4拍子が21曲、6/8拍子が8曲、3/4拍子が7曲 、2/4拍子が2曲、3/8拍子が1曲、2/2拍子が1曲ありました。

③速度記号
速度記号は“Andante”が含まれているのが12曲、Andantinoが2曲、Moderatoが4曲、Allegrettoが1曲、“Allegro”が含まれているのが16曲、Prestoが1曲、AppassionatoやScherzando,Con brioの発想記号のみの曲が4曲で、そのうちの1曲が“Lebhaft”と唯一のドイツ語での表記であった。発想記号のみの4曲を除き、Moderato(中庸の速さで)を中心(比率に含めない)として、これより遅い曲と速い曲に分類すると比率は14:17となるので、テンポのバランスのとれた構成だといえるのではと思います。

④曲の並び順
練習曲集全体の構成は、曲の並びに一定の法則や関連性は見られません。一般的な練習曲は難易度順に並べられているものが多いが、Op.73は第1番の段階で親指ポジションを使用しています。音域の面で最も易しいのは第4ポジションまでしか使用されていない第11番で、次いで第5ポジションまでの第3番と、曲の並びとは無関係だということがわかります。

調性においてもヴァイオリンの練習曲、ローデJacques Pierre Joseph Rode (1774~1830) の《24の奇想曲 24 capricen》のように全ての調性が使用されていたりはしない。調号の数とも関連は見られませんでした。

曲の並べ方に法則性を見出すことはできませんでしたが、初版が10曲ずつ発表されたことから、10曲のまとまりに意味があるとも考えられます。例えば第1巻(第1曲から第10曲)では親指ポジションでの動きに特化したもの、重音に特化したもの、特定のリズム音型を練習するものなど、様々な技術を習得する曲が収録され、終曲の第10番では分散和音、重音、親指ポジションでの動きが満遍なく組み込まれています。強弱記号もpppからffまであり音楽的にも充実した内容で、第9番までの総括のような構造になっています。第2巻にも同じことが言えますが、第3巻以降は最後の曲が総括になっているとはいえません。第3巻の終曲の第30番は、調号の多い変ト長調の運指と一定の運弓のパターンの練習に費やしており、第4巻の終曲の第40番はフラジオレットの練習曲です。

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