![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/168521372/rectangle_large_type_2_fcfa7f250d895211c64b7fabeae1df42.png?width=1200)
「能登」のご当地ソング〜紅白歌合戦2024年 極私的所感②
能登半島地震発生から1年が経ちました。先のNHK紅白歌合戦では、能登地方の復興を祈念すべく、坂本冬美さんが「能登はいらんかいね」を、石川さゆりさんが「能登半島」を歌唱されました。
坂本冬美「能登はいらんかいね」
発売年:1990年
作詞:岸元克己
作曲:猪俣公章
歌詞をみると「寒い地で、交通の便もよくはないが、酒は旨いし、素敵な出会いもある。こんな『能登』という地はどうだい?悪くないだろう」と歌ってるのだと思います。
なお歌詞の最後にでてくる「御陣乗太鼓」とは
御陣乗太鼓は、輪島市名舟町に伝わる郷土芸能です。1577(天正5)年、上杉謙信の軍勢が名舟に攻め込んだ時に、鬼や亡霊の面に海藻の髪を振り乱しながら太鼓を打ち鳴らす奇襲を仕掛け、上杉軍を追い払ったとされています。これが、今日まで祭りの行事「御陣乗太鼓」として伝えられ、県指定の無形民俗文化財に指定されています。
というもので、見出し画像はそのイメージです。
紅白歌合戦当日、坂本冬美さんは、輪島市の輪島高校で約300人を前に歌唱し、その様子が中継で放送されました。冬美さんの歌唱に直に触れた方々が、感激した表情で歌を聴いておられたのが実に印象的でした。
石川さゆり「能登半島」
発売年:1977年
作詞:阿久悠
作曲:三木たかし
夜明け間近北の海は波も荒く
〽よあけ・まぢか・きたの・うみは・なみも・あらく…
これ…この譜割りと言ったら、、
上野発の夜行列車おりた時から
の「津軽海峡・冬景色」と同じやん!と思ったら、やはりどちらも阿久悠・三木たかしコンビの作品でした。そして阿久悠さん自身も
…この字数が気に入った私は、石川さゆりの次の作品「能登半島」ーーこれは詞先行で作ったのですがーーを、「津軽海峡・冬景色」とほぼ同じ字数で書きました。
と仰っています。「津軽海峡・冬景色」は曲先で「3・3・3・3・3・4」という譜割りだったので、「上野」「発の」「夜行」「列車」「おりた」「時から」というフレーズが出てきて、2行で上野から青森まで行けた、と述べておられます。
そしてこの「能登半島」でも、特に2番の歌詞ではその「移動」の速さが際立ってます。
ここにいると旅の葉書もらった時
胸の奥で何か急にはじけたよう
一夜だけの旅の仕度すぐにつくり
熱い胸にとびこみたい私だった
十九なかばの恋知らず
十九なかばで恋を知り
すべてすべて投げ出し駆けつける
夏から秋への能登半島
あなたあなたたずねて行く旅は
夏から秋への能登半島
19歳の女性が、想い人が能登にいると知るや否や、その地をたずねて旅ゆくのです。
勿論、いずれも震災とは関連のない歌詞でありますが、歌を通じて彼の地に想いを馳せるのも、歌の在り方・聴き方の一つかと思います。