布団にくるまって、ずっと本とnoteを読んでた
風邪を引いてしまった僕は一日中、布団の中にくるまって、芋虫みたいに過ごしていた。
昼過ぎまでは寝ていて、お昼に味のしないどん兵衛を食したあと、また布団に戻ってウトウトした。
家人がスパイファミリーを見に出かけたので、いつしか家には僕一人となった。
暇を、というか、久しぶりの静寂を持て余した僕は、かといって布団から起き上がる気力もなかったから、近くの本棚から無造作に雑誌と本を引っ張り出して、それらを読み始めた。
はじめの一冊は、随分前に友人から勧められて買って以来、なかなか読めずじまいだった、ある新進気鋭の女性哲学者のエッセイだった。
間抜けな僕はすっかりこの本を哲学書だと勘違いしていたのだけれど、これはまぎれもなくエッセイだった。それもかなり僕好み、の。
うん、専門知識とか、知性とかよりも先に、作者の、ちょっと間抜けなその人らしさがどうしようもなくダダ漏れしてる感じ、僕が好きにならないわけがない。
そう言えば、この本を紹介してくれた友人は、単なる読書家ではなくて、以前にも僕の好みにドンピシャな本を教えてくれた選書の達人みたいな人だということを思い出した。
にもかかわらず、ずっと読んでなくて、ごめんよ!
次はスマホを手にして、noteを読み始める。
この際だから、普段はなかなか触手が動かない連載物の小説でも読んでみようと思って、ゼンチュウコウヘンからなる恋愛小説を読み進めたら、これが想像以上に、面白い、というか、まるでおでんの出汁のようなあったかさが、ちょっと弱って心細くなっていた僕のハートにじんわり染みこんできたのが嬉しくて、僕は思わずお礼のコメントを返したのだった。
そしたら、作者の方からほどなくお返事がかえってきて、そこに書かれていた
大人のゆるい恋愛
というフレーズがまた自分の心の琴線に触れてしまい、キモいと思われるのを承知の上で、僕はさらにコメントの上塗りをしたのだった。しかも、昔のCMの動画まで貼り付けて。
で、きっとキモいと思われてしまった(笑)
しかし、なれない静寂のせいなのかなんなのか、すっかり独り者気取りになった僕の脳はめげずにそのまま恋愛モードをキープし、今度は
昔のポパイに書いてあった、僕とだいたい同世代のエッセイストのしまおまほの
明らかに本人の実体験に基づく
大人のショートラブストーリー
に、またまたグッときてしまったのだった。
確かにそこに描かれていたのは、ゆるいといえばゆるいけれど、それ以上にほろ苦さが際立つ、それこそ大人にならないと体験できない類の素敵な恋愛情景だった。
そして、その作中、主人公の心の中で、人知れず、打ち上げられる花火のぼんぼんという音を聴きながら、僕は思いがけないシンクロニシティに勝手に胸を震わせていた。
というのも、さきほど僕がnoteの記事へのコメントに貼り付けたCMのキャッチコピーが、まさしく
恋は遠い日の花火ではない
というものだったからだ。
そして、この際だから、ドサクサに紛れて言ってしまうと、
その人と会っていると、思わず心の中で花火が打ち上がってしまう
ことを仮に恋愛と名付けるとするならば、それこそ未だに僕は老若男女問わずいろんな人と恋愛真っ最中だぞ。
いったい自分は何を言っているのか…。
さすがに分からなくなってきたので、今からちょっと眠ることにします。
おやすみなさい。