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「絶対」から「絶滅」へ

今から8年前、僕が初めて、そして、おそらく最後のAmazonレビューを書いたアーティスト。

そのレビューを僕は、

「そう遠くない未来に彼女の姿を紅白歌合戦で見られる、そんな幸せな予感がしてなりません」

という言葉で締め括っていた。

そして、その予感は見事に的中

しなかった。

というか、今となってはなぜ自分がそんな予感をしたのかすらよく分からない。

昨日、その彼女がかつてプロデュースしていたアイドルグループのメンバーがテレビに出ていた。

というか整形し過ぎで顔が変わり果てていて最初、誰だか全く分からなくて、名前のテロップが出てようやく彼女だと気づいたのだけど。

けど、それがきっかけで、久しぶりに彼女のことを思い出した。

でも、何の感情も湧かなかった。

だから改めて聴き直そうとも思わなかった。

しかし、運命とは異なもの味なものである。

その日の深夜4時に中途覚醒した僕がいつものようにスマホでYouTubeを立ち上げたら、彼女の新曲のPVがアップされていて、しかもそのタイトルが

「絶滅少女」

だったのだから。

確かにそこには

絶滅しそうになりながらもまだ「少女」であり続ける彼女がいた。

10年前に「絶対女の子がいいな」と高らかに歌っていた彼女が、そんな風に、歳を重ねて、今まさに絶滅しそうになりながらもまだ少女でいようとしている姿を見て、

僕は少し感傷的な気持ちになりかけたのだけど、最後までその曲を聴き終えたときには、

なぜだかとても前向きな気分になっていた。

それは、きっと当時、自分が思い描いていた未来とは異なる世界を生きていても、それでもなお

彼女が何も諦めていない

ことにちゃんと気づくことが出来たからかもしれない。

確かにこの僕らが生きている世界は、ちっともユートピアなんかではない。

でも、完全なディストピアでもないんだよなあ。

そんな狂おしく愛おしい世界の中で、

油断すると一瞬先には絶滅してしまう、自分の中の女の子を守るために、彼女は

今だにこんなにも必死に生きているのだ。

そんな姿を見せつけられたら、どうしたって励まされるし、そして、やっぱりあのとき彼女のことを好きになったのは間違ってなかったって改めて思えたのだった。

だから、これから復活して聴き続けるかは分からないけど(いやたぶん聴かない)、そんな彼女に負けないように、僕は僕で、

この一度しかない

かけがえのない刹那を

柔らかく噛み潰しながら

全力でやっていきたい

って思っている。

ちなみにアラフィフでこーゆー厨二病みたいな記事を書く自分のことそんなに嫌いじゃないです😅

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